专利摘要:
本発明は、抗原又は抗原組成物と、ヒト用量あたり0.5〜10 mgの代謝可能油、0.5〜11 mgのトコール及び0.1〜4 mgの乳化剤を含む水中油型エマルジョンを含むアジュバント組成物と、を含む免疫原性組成物を提供する。なし
公开号:JP2011516597A
申请号:JP2011504456
申请日:2009-04-16
公开日:2011-05-26
发明作者:ジュール ハノン,エマニュエル;ジェイアール,ウィリアム;リプリー バルー
申请人:グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム;
IPC主号:A61K39-085
专利说明:

[0001] 本発明は、改良されたワクチン及び免疫原性組成物並びに医学におけるその使用に関する。特に、本発明は、トコール、代謝可能油及び乳化剤を含む水中油型エマルジョンアジュバントと黄色ブドウ球菌の糖及び/又はタンパク質とを含むワクチン又は免疫原性製剤、並びに医学におけるその使用、特に免疫応答の増加におけるその使用、並びにその調製方法に関する。]
背景技術

[0002] 改善された免疫原性を有する新規組成物又はワクチンは常に必要とされている。1つの戦略として、アジュバントを用いて、任意の所与の抗原に対する免疫応答を改善し、及び/又は宿主における反応原性/毒性を低下させようとすることである。]
[0003] 水中油型エマルジョン自体は当業界で公知であり、アジュバント組成物として有用であると提唱されている(EP 399843;WO 95/17210号)。]
[0004] WO 95/17210号は、2〜10%のスクアレン、2〜10%のα-トコフェロール及び0.3〜3%のtween 80を含む水中油型エマルジョン、並びに単独で、又はQS21及び/若しくは3D-MPLとの組合せでのその使用を開示している。]
[0005] WO 99/12565号は、代謝可能油、サポニン及びステロールを含む水中油型エマルジョン組成物を開示している。この水中油型エマルジョンは、3D-MPLをさらに含む。]
[0006] WO 99/11241号は、代謝可能油とサポニンが1:1〜200:1の比率で存在する、代謝可能油とサポニンを含む水中油型エマルジョンを開示している。]
発明が解決しようとする課題

[0007] 好適な免疫応答を提供し、宿主における反応原性が低い、改良されたワクチン及び免疫原性組成物の必要性が依然として存在する。]
課題を解決するための手段

[0008] 本発明者らは、組成物内の抗原又は抗原組成物(抗原性組成物)に対して同等の免疫応答を依然として維持しながら、用いることができる水中油型エマルジョンの各成分をより低量で含むワクチン又は免疫原性組成物を見出した。これは、宿主レシピエント内の反応原性を低下させながら、抗原に対する免疫原性のレベルを維持する利点を有し、ブドウ球菌(例えば黄色ブドウ球菌)の糖又はタンパク質を含む組成物に適用することができる。]
[0009] 従って、本発明の第1の態様においては、ブドウ球菌の糖又はタンパク質と、ヒト用量あたり、0.5〜10 mgの代謝可能油、0.5〜11 mgのトコール及び0.4〜4 mgの乳化剤を含む水中油型エマルジョンを含むアジュバント組成物と、を含む免疫原性組成物が提供される。]
[0010] 本発明の別の態様においては、ブドウ球菌の糖又はタンパク質と、ヒト用量あたり0.5〜10 mgの代謝可能油、0.5〜11 mgのトコール及び0.4〜4 mgの乳化剤を含む水中油型エマルジョンを含むアジュバント組成物と、を含むワクチン組成物が提供される。]
[0011] 本発明のさらなる態様においては、感染及び/又は疾患の予防のための免疫原性組成物の製造における、ブドウ球菌の糖又はタンパク質と、0.5〜10 mgの代謝可能油、0.5〜11 mgのトコール及び0.4〜4 mgの乳化剤を含む水中油型エマルジョンを含むアジュバント組成物とを含むワクチン又は免疫原性組成物の使用が提供される。]
[0012] さらなる態様においては、免疫原性組成物中の抗原が誘導される病原体の変異体である病原体により引き起こされる感染又は疾患に対する防御のための、上記で定義された方法又は使用が提供される。別の実施形態においては、免疫原性組成物中のその抗原の変異体である抗原を含む病原体により引き起こされる感染又は疾患に対する防御のための上記で定義された方法又は使用が提供される。]
図面の簡単な説明

[0013] 臨床試験:様々な時点での抗HA抗体に関する幾何学的平均力価(GMT)(免疫原性に関するATPコホート)を示す。
臨床試験:0日目及び21日目でのHI抗体力価に関する血清防御率(SPR)(95%信頼区間と共に)(免疫原性に関するATPコホート)を示す。
臨床試験:21日目でのHI抗体力価に関する血清変換率(SCR)(95%信頼区間と共に)(免疫原性に関するATPコホート)を示す。
臨床試験:21日目でのHI抗体力価に関する血清変換係数(SCF)(95%信頼区間と共に)(免疫原性に関するATPコホート)を示す。
マウス試験:ヘテロサブタイプ株(用量範囲AS03)でプライミングされたBALB/cマウスにおける血球凝集抑制試験(GMT +/- IC95)を示す。図5A:抗A/ニューカレドニア/20/99 HI力価。図5B:抗A/パナマ/2007/99 HI力価。
図5C:抗B/山東/7/97 HI力価。
マウス試験:ヘテロサブタイプ株(用量範囲AS03)でプライミングされたC57Bl/6マウスにおける血球凝集抑制試験(GMT +/- IC95)を示す。
マウス試験:ヘテロサブタイプ株(用量範囲AS03)でプライミングされたC57Bl/6マウスに由来するPBMCにおける細胞性免疫応答(CD4+ T細胞)を示す。
マウス試験:ヘテロサブタイプ株でプライミングされ、用量範囲AS03のアジュバントを添加された低用量抗原(0.5μg)で免疫されたC57Bl/6マウスに由来するPBMCにおける細胞性免疫応答(CD4+ T細胞)を示す。
マウス試験:2つの異なる抗原用量:1.5μg(A、C及びE)又は0.38μg(B、D及びF)に関する、免疫後14日目のH5N1特異的血清IgELISA力価(A及びB)並びに抗H5N1IgG1(C及びD)及びIgG2b(E及びF)アイソタイプ応答(GMT +/- IC95)を示す。
図9−1の続きである。
図9−2の続きである。
マウス試験:2つの異なる抗原用量:1.5μg(A)又は0.38μg(B)に関する、免疫後21日目(GMT +/- IC95)の血球凝集抑制試験(GMT +/- IC95)を示す。
マウス試験:用量範囲AS03のアジュバントを添加された異なる用量のH5N1ワクチン(1.5又は0.38μg)((A)1.5μgのHA Ag(抗原)又は(B)0.38μgのHA Ag(抗原))で免疫されたナイーブなC57Bl/6マウスにおける細胞性免疫応答(CD4+ T細胞)を示す。
図11−1の続きである。
ブタ試験:相同株(用量範囲AS03)でプライミングされたブタにおける血球凝集抑制試験(GMT +/- IC95)を示す。]
[0014] 本明細書における用語「含む(comprising、comprise及びcomprises)」は、全ての例において、それぞれ、用語「からなる(consisting of、consist of及びconsists of)」と必要に応じて置換可能であることが本発明者らにより意図される。]
[0015] 本発明の「ワクチン組成物」に関する本明細書に記載の実施形態はまた、本発明の「免疫原性組成物」に関する実施形態に対しても適用可能であり、またその逆もある。]
[0016] 本発明の一実施形態においては、抗原又は抗原組成物と、ヒト用量あたり0.5〜10 mgの代謝可能油、0.5〜11 mgのトコール及び0.4〜4 mgの乳化剤を含む水中油型エマルジョンからなるアジュバント組成物と、を含むワクチン又は免疫原性組成物が提供される。]
[0017] 本発明のさらなる実施形態においては、抗原又は抗原組成物と、ヒト用量あたり0.5〜10 mgの代謝可能油(スクアレンなど)、0.5〜11 mgのトコール(α-トコフェロールなど)及び0.4〜4 mgの乳化剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなど)を含む水中油型エマルジョンを含むアジュバント組成物と、を含むワクチン又は免疫原性組成物が提供される。]
[0018] 水中油型エマルジョン成分
本発明のアジュバント組成物は、水中油型エマルジョンアジュバントを含み、好ましくは、該エマルジョンは0.5〜10 mgの量の代謝可能油、0.5〜11 mgの量のトコール及び0.4〜4 mgの量の乳化剤を含み、強度少なくとも70%の油滴が1μm未満の直径を有する油滴を有する。]
[0019] 任意の水中油型組成物をヒト投与にとって好適なものとするために、エマルジョン系の油相は代謝可能油を含む必要がある。用語「代謝可能油」の意味は当業界でよく知られている。代謝可能性は、「代謝により変換され得ること」と定義することができる(Dorland's Illustrated Medical Dictionary, W.B. Sanders Company、第25版(1974))。この油は、レシピエントに対して毒性ではなく、代謝により変換され得る任意の植物油、魚油、動物油又は合成油であってよい。ナッツ類、種子、及び穀物は、植物油の一般的な供与源である。合成油もまた本発明の一部であり、NEOBEE(登録商標)及び他のものなどの市販の油が挙げられる。特に好適な代謝可能油は、スクアレンである。スクアレン(2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-2,6,10,14,18,22-テトラコサヘキサエン)は、サメの肝油中に大量に認められ、オリーブ油、小麦胚種油、ぬか油、及び酵母中に少量に認められる不飽和油であり、本発明における使用にとって特に好ましい油である。スクアレンは、それがコレステロールの生合成における中間体であるという事実により、代謝可能油である(Merck index、第10版、エントリー番号8619)。]
[0020] 好適には、代謝可能油は、0.5〜10 mg、好ましくは、1〜10、2〜10、3〜9、4〜8、5〜7、又は5〜6 mg(例えば、2〜3、5〜6、又は9〜10 mg)、具体的には、5.35 mg又は2.14 mgの量でアジュバント組成物中に存在する。本発明のさらなる実施形態においては、代謝可能油は、0.5〜10 mg、好ましくは、1〜10、2〜10、3〜9、4〜8、5〜7、又は5〜6 mg(例えば、2〜3、5〜6、又は9〜10 mg)、具体的には、5.35 mg又は2.14 mgの量でワクチン(又は免疫原性)組成物中に存在する。]
[0021] ワクチン又は免疫原性組成物中の代謝可能油の量を、全組成物の割合として表すことができる。好適には、代謝可能油は、全組成物容量の0.5%〜2%、好ましくは0.25〜2、又は0.25〜1.75、又は0.5〜1.65、又は0.6〜1.5、又は0.8〜1.4又は1〜1.25%(v/v)の油の量でワクチン組成物中に存在する。]
[0022] 別の特定の実施形態においては、代謝可能油は、ワクチン(又は免疫原性)組成物の全量の約1.25%の最終量で存在する。別の特定の実施形態においては、代謝可能油は、全組成物容量の0.25%(v/v)の最終量で存在する。]
[0023] 明確にするために、v/vで示される濃度を、以下の変換係数:5%(v/v)のスクアレン濃度は4.28%(w/v)スクアレン濃度と等価である、を適用することにより、w/vでの濃度に変換することができる。]
[0024] 水中油型エマルジョンは、トコールを含む。トコールは当業界でよく知られており、EP0382271に記載されている。好適には、トコールはα-トコフェロール又はコハク酸α-トコフェロール(コハク酸ビタミンEとしても知られる)などのその誘導体である。好適には、前記トコールは、0.5〜11 mg、好ましくは1〜11、2〜10、3〜9、4〜8、5〜7、5〜6(例えば、10〜11、5〜6、2.5〜3.5又は1〜3 mg)の量でアジュバント組成物中に存在する。特定の実施形態においては、トコールは5.94 mg又は2.38 mgの量で存在する。さらなる実施形態においては、好適には、前記トコールは0.5〜11 mg、好ましくは1〜11、2〜10、3〜9、4〜8、5〜7、5〜6(例えば、10〜11、5〜6、2.5〜3.5又は1〜3 mg)の量でワクチン(又は免疫原性)組成物中に存在する。特定の実施形態においては、トコールは5.94 mg又は2.38 mgの量で存在する。]
[0025] トコールの量は、ワクチン又は免疫原性組成物の全容量の割合として表すことができる。好適には、トコールは免疫原性組成物の全量の0.25%〜2%(v/v)の量でワクチン組成物中に存在し、好ましくは、0.25〜2で、全量の0.25〜2、又は0.25〜1.75、又は0.5〜1.65、又は0.6〜1.5、又は0.8〜1.4又は1〜1.25%(v/v)のトコールを含む。]
[0026] 好ましくは、トコールはワクチン(又は免疫原性)組成物の全量の0.2%〜2%(v/v)の量で存在し、より好ましくは、0.5 ml用量中に1.25%(v/v)の量で存在する。]
[0027] 特定の実施形態においては、トコールはワクチン又は免疫原性組成物の全量の約1.25%の最終量で存在する。別の特定の実施形態においては、トコールは全量の0.25%(v/v)又は0.5 ml用量中の1.25%(v/v)又は0.7 ml用量中の0.9%(v/v)、又は0.5 ml用量中の0.5%(v/v)又は0.7 mlのワクチン若しくは免疫原性用量中の0.35〜0.37%、好ましくは0.36%の最終量で存在する。]
[0028] 明確にするために、v/vで示される濃度を、以下の変換係数:5%(v/v)のα-トコフェロール濃度は4.8%(w/v)α-トコフェロール濃度と等価である、を適用することにより、w/vでの濃度に変換することができる。]
[0029] 水中油型エマルジョンはさらに、乳化剤を含む。好適には、乳化剤はポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートである。特定の実施形態においては、乳化剤をPolysorbate(登録商標)80又はTween(登録商標)80を含む群より選択することができる。]
[0030] 前記乳化剤は、好適には0.1〜5、0.2〜5、0.3〜4、0.4〜3又は2〜3 mg(例えば、0.4〜1.2、2〜3又は4〜5 mg)の乳化剤の量でアジュバント組成物中に存在する。特定の実施形態においては、乳化剤は0.97 mg又は2.425 mgの量で存在する。]
[0031] さらに、前記乳化剤は、好適には0.1〜5、0.2〜5、0.3〜4、0.4〜3又は2〜3 mg(例えば、0.4〜1.2、2〜3又は4〜5 mg)の乳化剤の量でワクチン又は免疫原性組成物中に存在する。特定の実施形態においては、乳化剤は0.97 mg又は2.425 mgの量で存在する。]
[0032] 乳化剤の量を、ワクチン又は免疫原性組成物の全容量の割合として表すことができる。好適には、乳化剤は、前記組成物の全量の0.125〜0.8%(v/v)の量、好ましくは、全量の0.08〜0.5、又は0.1〜0.7、又は0.2〜0.6、又は0.25〜0.55、又は0.3〜0.52又は0.4〜0.5%(v/v)でワクチン(又は免疫原性)組成物中に存在する。特定の実施形態においては、乳化剤はワクチン又は免疫原性組成物の全容量の1%、0.5%又は0.2%(v/v)の量で存在する。]
[0033] 明確にするために、v/vで示される濃度を、以下の変換係数:1.8%(v/v)のPolysorbate 80濃度は1.91%(w/v)のPolysorbate 80濃度と等価である、を適用することにより、w/vでの濃度に変換することができる。]
[0034] 特定の実施形態においては、0.5 mlのワクチン又は免疫原性用量は、0.45%(v/v)のTween 80を含み、0.7 mlの用量は0.315%(v/v)のTween 80を含む。別の特定の実施形態においては、0.5 mlの用量は0.18%(v/v)の乳化剤を含み、0.7 mlのワクチン又は免疫原性組成物の用量は0.126%(v/v)の乳化剤を含む。]
[0035] 用語「ヒト用量」とは、ヒトにおける使用にとって好適な容量にある用量を意味する。一般的には、これは0.25〜1.5 mlである。一実施形態においては、ヒト用量は0.5 mlである。さらなる実施形態においては、ヒト用量は0.5 mlより高く、例えば、0.6、0.7、0.8、0.9又は1 mlである。さらなる実施形態においては、ヒト用量は1 ml〜1.5 mlである。別の実施形態においては、特に、免疫原性組成物が小児集団のためのものである場合、ヒト用量は0.25〜0.5 mlなどの0.5 ml未満であってよい。本発明は、免疫原性組成物内のアジュバントの個々の成分の各々又は全部が、以前には有用であると考えられていたものよりも低いレベルであり、典型的には上記で記載したものであることを特徴とする。特に好適な組成物は、0.5 mlのヒト用量の最終容量中に以下の量の以下のアジュバント成分を含む。]
[0036] 本発明はさらに、例えば、表1に例示されたものだけでない、上記で定義された量の上記で定義された個々の成分を含むアジュバント組成物を提供する。典型的には、そのようなアジュバント組成物は、ヒト用量に好適な容量にあるであろう。アジュバントが液体形態の抗原性組成物と混合される液体形態にある場合、アジュバント組成物は、例えば、ヒト用量の意図される最終容量の約半分、例えば、0.7 mlの意図されるヒト用量については350μl容量、又は0.5 mlの意図されるヒト用量については250μl容量などの、ヒト用量の意図される最終容量の一部(fraction)であるヒト用量に好適な容量であろう。抗原組成物と混合して最終ヒト用量のワクチンを提供する場合、アジュバント組成物を希釈する。そのような用量の最終容量は勿論、アジュバント組成物の最初の容量及びアジュバント組成物に添加される抗原組成物の容量に応じて変化するであろう。別の実施形態においては、液体アジュバントを用いて、凍結乾燥された抗原組成物を再構成する。この実施形態においては、アジュバント組成物のヒト用量に好適な容量は、ヒト用量の最終容量とほぼ等しい。液体アジュバント組成物を、凍結乾燥された抗原組成物を含むバイアルに添加する。最終ヒト用量は0.5〜1.5 mlの間で変化してもよい。]
[0037] 水中油型エマルジョンを製造する方法は当業者にはよく知られている。一般的には、その方法は、トコールを含有する油相と、PBS/TWEEN80(商標)溶液などの界面活性剤とを混合した後、ホモジナイザーを用いてホモジナイズすることを含み、少量の液体をホモジナイズするには、シリンジ針を通して混合物を2回通過させることを含む方法が好適であることが当業者には明らかであろう。同じく、マイクロフルイダイザー(M110S Microfluidics装置、最大50回通過、6バールの最大圧入力(約850バールの出力圧)で2分間)における乳化プロセスを当業者により適合させて、少量又は大量のエマルジョンを製造することができる。この適合化は、調製が必要な直径の油滴と共に達成されるまで、得られるエマルジョンの測定を含む慣用的な実験により達成することができる。]
[0038] 水中油型エマルジョンにおいては、油と乳化剤は水性担体中にあるべきである。水性担体は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水であってよい。]
[0039] 好ましくは、本発明の水中油型エマルジョン系は、マイクロメートル以下の範囲の小さい油滴サイズを有する。好適には、液滴サイズは直径120〜750 nm、より好ましくは120〜600 nmの範囲にあるであろう。最も好ましくは、水中油型エマルジョンは、強度少なくとも70%の油滴が直径500 nm未満であり、より好ましくは、強度少なくとも80%が直径300 nm未満であり、より好ましくは強度少なくとも90%が直径120〜200 nmの範囲にある、当該油滴を含有する。]
[0040] 本発明において油滴サイズ(すなわち直径)は、強度により表す。油滴サイズの直径を強度により決定するいくつかの方法が存在する。強度を、サイズ決定装置の使用、好適には、Malvern Zetasizer 4000又は好ましくはMalvern Zetasizer 3000HSなどの動的光散乱により測定する。詳細な手順を実施例II.2に示す。第1の可能性は、動的光散乱によりz平均直径ZADを決定することである(PCS-光子相関分光法)。この方法はさらに、多分散性指数(PDI)を示し、ZAD及びPDIは共にキュムラントアルゴリズムを用いて算出される。これらの値は粒子屈折率の知識を必要としない。第2の手段は、別のアルゴリズム、Contin若しくはNNLS、又は自動「Malvern」のもの(サイズ決定装置により提供されるデフォルトアルゴリズム)により全粒子径分布を決定することにより、油滴の直径を算出することである。多くの場合、複合体組成物の粒子屈折率は未知であるので、強度分布のみを考慮に入れ、必要に応じて、強度はこの分布から生じることを意味する。]
[0041] 任意的な免疫刺激剤
本発明のさらなる実施形態においては、抗原又は抗原組成物と、0.5〜10 mgの代謝可能油、0.5〜11 mgのトコール及び0.4〜4 mgの乳化剤を含む水中油型エマルジョン及び必要に応じて1種以上のさらなる免疫刺激剤を含むアジュバント組成物と、を含むワクチン又は免疫原性組成物が提供される。]
[0042] 一実施形態においては、アジュバント組成物は、本明細書に記載の油及び水のエマルジョンを含む。さらなる実施形態においては、アジュバント組成物はさらに、1種以上のさらなるアジュバント又は免疫刺激剤を含んでもよい。さらなる実施形態においては、アジュバント組成物は、必要に応じてQS21及び/又はMPL以外の、1種以上のさらなるアジュバント又は免疫刺激剤を含む。]
[0043] 任意的な追加のアジュバントは、サポニン、リピドA若しくはその誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチド、アルキルグルコサミニドホスフェート、金属塩、toll様受容体アゴニスト又はそれらの組合せからなる群より選択する。このアジュバントは、Toll様受容体アゴニスト、特に、Toll様受容体2、3、4、7、8若しくは9のアゴニスト、又はサポニンであることが好ましい。アジュバント系は上記一覧からの2種以上のアジュバントを含むことがさらに好ましい。好ましくは、組合せは、サポニン(特に、QS21)アジュバント及び/又は3D-MPLなどのToll様受容体4アゴニスト若しくはCpG含有免疫刺激オリゴヌクレオチドなどのToll様受容体9アゴニストを含む。他の好ましい組合せは、サポニン(特に、QS21)、並びにサポニン(特に、QS21)などのToll様受容体4アゴニスト及び3D-MPL又はアルキルグルコサミニドホスフェートなどのToll様受容体4リガンドを含む。]
[0044] 一実施形態においては、追加のアジュバントは、Toll様受容体(TLR)4リガンド、好ましくは、リピドA誘導体、特にモノホスホリルリピドA又はより具体的には3-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)などのアゴニストである。]
[0045] 3D-MPLは、GlaxoSmithKline Biologicals North Americaにより商標MPL(登録商標)の下で入手可能であり、主にIFN-g(Th1)表現型を有するCD4+ T細胞応答を促進する。それを、GB 2 220 211 Aに開示された方法に従って製造することができる。化学的には、それは3-脱アシル化モノホスホリルリピドAと、3、4、5又は6アシル化鎖との混合物である。好ましくは、本発明の組成物においては、小粒子3D-MPLを用いる。小粒子3D-MPLは、それを0.22μmフィルターを通して滅菌濾過することができるような粒子径を有する。そのような調製物は国際特許出願WO 94/21292号に記載されている。リピドAの合成誘導体は公知であり、限定されるものではないが、
OM174(2-デオキシ-6-o-[2-デオキシ-2-[(R)-3-ドデカノイルオキシテトラ-デカノイルアミノ]-4-o-ホスホノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]-α-D-グルコピラノシルジヒドロゲンホスフェート)(WO95/14026号)、
OM 294DP(3S,9R)-3--[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9(R)-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1,10-ビス(ジヒドロゲンホスフェート)(WO99/64301号及びWO00/0462号)、
OM 197 MP-Ac DP (3S-,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1-ジヒドロゲンホスフェート10-(6-アミノヘキサノエート)(WO01/46127号)、
などのTLR4アゴニストであると考えられる。]
[0046] 用いることができる他のTLR4リガンドは、WO 9850399号若しくは米国特許第6303347号(AGPの調製のためのプロセスも開示されている)に開示されたものなどのアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)、又は米国特許第6764840号に開示されたAGPの製薬上許容し得る塩である。いくつかのAGPはTLR4アゴニストであり、いくつかはTLR4アンタゴニストである。両方ともアジュバントとして有用であると考えられる。]
[0047] TLR-4を介するシグナル伝達応答を引き起こすことができる他の好適なTLR-4リガンド(Sabroeら、JI 2003 p1630-5)は、例えば、グラム陰性細菌に由来するリポ多糖及びその誘導体、又はその断片、特に、LPSの非毒性誘導体(3D-MPLなど)である。他の好適なTLRアゴニストは、熱ショックタンパク質(HSP)10、60、65、70、75若しくは90;界面活性剤プロテインA、ヒアルロン酸オリゴ糖、ヘパラン硫酸断片、フィブロネクチン断片、フィブリノゲンペプチド及びb-デフェンシン-2、ムラミルジペプチド(MDP)又は呼吸器合胞体ウイルスのFタンパク質である。一実施形態においては、TLRアゴニストはHSP 60、70又は90である。]
[0048] Toll様受容体(TLR)は、昆虫とヒトの間で進化的に保存されたI型膜貫通受容体である。今までのところ、10種のTLR(TLR 1-10)が確立されている(Sabroeら、JI 2003 p1630-5)。TLRファミリーのメンバーは類似する細胞外及び細胞内ドメインを有する。その細胞外ドメインはロイシンリッチ反復配列を有することが示されており、その細胞内ドメインはインターロイキン-1受容体(IL-1R)の細胞内領域と類似している。TLR細胞は免疫細胞及び他の細胞(血管上皮細胞、脂肪細胞、心筋細胞及び腸上皮細胞など)の間で示差的に発現される。TLRの細胞内ドメインはアダプタータンパク質Myd88と相互作用し、その細胞質領域中にIL-1Rドメインをも有し、サイトカインのNF-KB活性化を誘導することができる。このMyd88経路は、サイトカイン放出がTLR活性化により行われる一方通行である。TLRは、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージなど)などの細胞型において主に発現される。]
[0049] TLRを介する刺激による樹状細胞の活性化は、樹状細胞の成熟、及びIL-12などの炎症性サイトカインの産生を誘導する。今までのところ行われた研究により、TLRは異なる型のアゴニストを認識するが、いくつかのアゴニストはいくつかのTLRにとって共通であることが見出された。TLRアゴニストは主に細菌又はウイルスから誘導され、フラゲリン又は細菌リポ多糖(LPS)などの分子が挙げられる。]
[0050] 「TLRアゴニスト」とは、直接的リガンドとして、又は内因性若しくは外因性リガンドの生成を介して間接的に、TLRシグナル伝達経路を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができる成分を意味する(Sabroeら、JI 2003 p1630-5)。]
[0051] 別の実施形態においては、TLR分子の他の天然又は合成アゴニストを、任意的な追加の免疫刺激剤として用いる。これらのものとしては、限定されるものではないが、TLR2、TLR3、TLR7、TLR8及びTLR9に対するアゴニストが挙げられる。]
[0052] 本発明の一実施形態においては、TLR-1を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストを用いる(Sabroeら、JI 2003 p1630-5)。好適には、TLR-1を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストは、トリアシル化リポペプチド(LP);フェノール可溶性モジュリン;結核菌(マイコバクテリウム・ツベルクロシス)のLP;S-(2,3-ビス(パルミトイルオキシ)-(2-RS)-プロピル)-N-パルミトイル-(R)-Cys-(S)-Ser-(S)-Lys(4)-OH、細菌リポタンパク質のアセチル化アミノ末端を模倣するトリヒドロクロリド(Pam3Cys)LP及びボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burfdorfei)に由来するOspA LPから選択される。]
[0053] 別の実施形態においては、TLR-2を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストを用いる(Sabroeら、JI 2003 p1630-5)。好適には、TLR-2を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストは、1種以上のリポタンパク質、ペプチドグリカン、結核菌(M. tuberculosis)、B.ブルグドルフェリ(B. burgdorferi)、梅毒トレポネーマ(T. pallidum)に由来する細菌リポペプチド;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)などの種に由来するペプチドグリカン;リポテイコ酸、マンヌロン酸、ナイセリアポリン、細菌線毛、エルシニア病原性因子、CMVビリオン、麻疹ヘマグルチニン、及び酵母由来ザイモサンである。]
[0054] 別の実施形態においては、TLR-3を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストを用いる(Sabroeら、JI 2003 p1630-5)。好適には、TLR-3を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストは、二本鎖RNA(dsRNA)、又はポリイノシン-ポリシチジル酸(ポリIC)、ウイルス感染に関連する分子核酸パターンである。]
[0055] 別の実施形態においては、TLR-5を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストを用いる(Sabroeら、JI 2003 p1630-5)。好適には、TLR-5を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストは、細菌線毛である。]
[0056] 別の実施形態においては、TLR-6を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストを用いる(Sabroeら、JI 2003 p1630-5)。好適には、TLR-6を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストは、マイコバクテリアリポタンパク質、ジアシル化LP、及びフェノール可溶性モジュリンである。さらなるTLR6アゴニストはWO2003043572号に記載されている。]
[0057] 別の実施形態においては、TLR-7を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストを用いる(Sabroeら、JI 2003 p1630-5)。好適には、TLR-7を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストは、一本鎖RNA(ssRNA)、ロキソリビン、N7及びC8位でのグアノシン類似体、若しくはイミダゾキノリン化合物、又はその誘導体である。一実施形態においては、TLRアゴニストはイミキモッドである。さらなるTLR7アゴニストはWO02085905号に記載されている。]
[0058] 別の実施形態においては、TLR-8を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストを用いる(Sabroeら、JI 2003 p1630-5)。好適には、TLR-8を介してシグナル伝達応答を引き起こすことができるTLRアゴニストは、一本鎖RNA(ssRNA)、抗ウイルス活性を有するイミダゾキノリン分子、例えば、レシキモッド(R848)である。レシキモッドもTLR-7により認識することができる。用いることができる他のTLR-8アゴニストとしては、WO2004071459号に記載のものが挙げられる。]
[0059] 免疫刺激オリゴヌクレオチド又は任意の他のToll様受容体(TLR)9アゴニストを用いることもできる。本発明のアジュバント又はワクチン若しくは免疫原性組成物における使用にとって好ましいオリゴヌクレオチドは、CpG含有オリゴヌクレオチド、好ましくは、少なくとも3個、より好ましくは、少なくとも6個以上のヌクレオチドにより分離された2個以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドである。CpGモチーフは、シトシンヌクレオチド、次いで、グアニンヌクレオチドである。本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、典型的にはデオキシヌクレオチドである。好ましい実施形態においては、オリゴヌクレオチド中のインターヌクレオチドは、ホスホロジチオエート、又はより好ましくは、ホスホロチオエート結合であるが、ホスホジエステル及び他のヌクレオチド間結合も本発明の範囲内にある。また、混合ヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドも本発明の範囲内に含まれる。ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド又はホスホロジチオエートを製造する方法は、米国特許第5,666,153号、同第5,278,302号及びWO 95/26204号に記載されている。]
[0060] 好ましいオリゴヌクレオチドの例は、以下の配列を有する。この配列は好ましくは、ホスホロチオエート修飾ヌクレオチド間結合を含む:
OLIGO 1(配列番号1): TCC ATGACGTTCCTG ACG TT (CpG 1826)
OLIGO 2(配列番号2): TCT CCC AGCGTGCGCCAT(CpG 1758)
OLIGO 3(配列番号3):ACCGAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG
OLIGO 4(配列番号4): TCG TCGTTTTGTCGT TTT GTCGTT(CpG 2006)
OLIGO 5(配列番号5): TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668)
OLIGO 6(配列番号6): TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G (CpG 5456)。]
[0061] 別のCpGオリゴヌクレオチドは、それらが重要でない欠失又は付加を有する点で上記の好ましい配列を含んでもよい。本発明において用いられるCpGオリゴヌクレオチドは、当業界で公知の任意の方法(例えば、EP 468520参照)により合成することができる。便利には、そのようなオリゴヌクレオチドを自動化合成装置を用いて合成することができる。]
[0062] 従って、別の実施形態においては、アジュバント組成物はさらに、TLR-1アゴニスト、TLR-2アゴニスト、TLR-3アゴニスト、TLR-4アゴニスト、TLR-5アゴニスト、TLR-6アゴニスト、TLR-7アゴニスト、TLR-8アゴニスト、TLR-9アゴニスト、又はその組合せからなる群より選択される追加の免疫刺激剤を含む。]
[0063] 本発明における使用のための別の好ましい免疫刺激剤は、Quil A及びその誘導体である。Quil Aは、南米の樹木キラヤ・サポナリア・モリナ(Quilaja Saponaria Molina)から単離されたサポニン調製物であり、Dalsgaardら、1974(「Saponin adjuvants」、Archiv. fur die gesamte Virusforschung, Vol. 44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)によってアジュバント活性を有すると初めて記載された。Quil Aの精製断片、例えば、QS7及びQS21(QA7及びQA21としても知られる)は、HPLCにより単離され、Quil Aに関連する毒性なしにアジュバント活性を保持する(EP 0 362 278)。QS-21は、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、Th1細胞及び主なIgG2a抗体応答を誘導するキラヤ・サポナリア・モリナの樹皮から誘導された天然サポニンであり、本発明の内容において好ましいサポニンである。]
[0064] 特に好ましいものであるQS21の特定の製剤が記載されており、これらの製剤はさらにステロールを含む(WO 96/33739号)。スクアレン及びサポニン(必要に応じて、QS21)を含有させる場合、エマルジョン中の油の全体レベルを減少させることができるため、ステロール(必要に応じて、コレステロール)を製剤に含有させることも有益である。これは、製造費用の削減、ワクチン接種の全体的な快適性の改善、並びにまた、IFN-γ産生の改善などの、得られる免疫応答の定性的及び定量的改善をもたらす。従って、本発明のアジュバント系は、典型的には、200:1〜300:1の範囲の比の代謝可能油:サポニン(w/w)を含み、また、本発明を1:1〜200:1、必要に応じて20:1〜100:1、又は実質的には48:1である任意の範囲の「低油(low oil)」形態で用いることができ、このワクチンは、かなり低下した反応原性プロフィールを有する、全ての成分の有益なアジュバント特性を保持する。従って、いくつかの実施形態は、1:1〜250:1、又は20:1〜200:1、又は20:1〜100:1、又は実質的には48:1の範囲のスクアレン:QS21(w/w)の比率を有する。必要に応じて、本明細書に記載のサポニン:ステロール比で存在するステロール(例えば、コレステロール)も含有させる。]
[0065] 抗原及び抗原組成物
前記ワクチン又は免疫原性製剤は、ヒト又は動物病原体に対する免疫応答を引き出すことができるブドウ球菌の糖及び/又はタンパク質を含むであろう。]
[0066] 多糖
本発明の免疫原性組成物は、場合によりPNAG、336抗原、並びに/あるいは黄色ブドウ球菌由来の5型及び/又は8型多糖を含んでもよい。]
[0067] PNAG
現在では、PS/A、PIA及びSAAとして同定されているブドウ球菌表面多糖の種々の形態が同じ化学物質、すなわちPNAGであることが明らかとなっている(Maira-Litran et al Vaccine 22; 872-879 (2004))。従って、PIA又はPNAGという用語は、これらの多糖又はそれから誘導されるオリゴ糖のすべてを包含する。]
[0068] PIAは、多糖細胞間付着因子であり、N-アセチル及びO-スクシニル構成要素で置換されたβ-(1→6)結合グルコサミンのポリマーから構成される。この多糖は、黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)の両方に存在し、いずれかの起源から単離することができる(Joyceら、2003, Carbohydrate Research 338; 903; Maira-Litranら、2002, Infect. Imun. 70; 4433)。例えば、PNAGを、黄色ブドウ球菌MN8m株(WO 04/43407号)から単離することができる。]
[0069] 表皮ブドウ球菌から単離されたPIAは、生物膜の不可欠な構成要素である。これは、細胞間接着の媒介に寄与しており、おそらく宿主の免疫応答から増殖するコロニーを保護するために機能している。]
[0070] 以前はポリ-N-スクシニル-β-(1→6)-グルコサミン(PNSG)として知られた多糖は、最近、N-スクシニル化の同定が不正確であったため、予想された構造を有さないことが示された(Maira-Litranら、2002, Infect. Imun. 70; 4433)。従って、正式にはPNSGとして知られ、今はPNAGであると判明した多糖も、用語「PIA」に包含される。]
[0071] PIA(又はPNAG)は400 kDa以上、75〜400 kDa、10〜75 kDaから、最大で30個の(N-アセチル及びO-スクシニル構成要素で置換された、β(1→6)結合グルコサミンの)反復単位から構成されるオリゴ糖まで変化する様々なサイズのものであってよい。任意のサイズのPIA多糖又はオリゴ糖を、本発明の免疫原性組成物中で用いることができるが、40 kDaを超えるサイズが好ましい。サイジングを、当業界で公知の任意の方法、例えば、微小流体化、超音波照射又は化学的切断(WO 03/53462号、EP497524、EP497525)により達成することができる。]
[0072] 一実施形態において、PIA(PNAG)のサイズ範囲は、40〜400 kDa、50〜350 kDa、40〜300 kDa、60〜300 kDa、50〜250 kDa及び60〜200 kDaである。]
[0073] PIA(PNAG)は、アセテートによるアミノ基上の置換に起因して、様々な程度のアセチル化を有してもよい。in vitroで製造されたPIAは、アミノ基上でほぼ完全に置換されている(95〜100%)。あるいは、60%未満、好ましくは50%、40%、30%、20%、10%又は5%未満のアセチル化を有する脱アセチル化PIA(PNAG)を用いることができる。脱アセチル化PIA(PNAG)の使用は、PNAGの脱アセチル化エピトープがグラム陽性細菌、好ましくは黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌のオプソニン殺傷の媒介に効率的であるため好ましい。最も好ましくは、PIA(PNAG)は40 kDa〜300 kDaのサイズを有し、60%、50%、40%、30%又は20%未満のアミノ基がアセチル化されるように脱アセチル化される。]
[0074] 用語「脱アセチル化PNAG(dPNAG)」とは、60%、50%、40%、30%、20%又は10%未満のアミノ基がアセチル化されたPNAG多糖又はオリゴ糖を指す。]
[0075] 一実施形態においては、PNAGを脱アセチル化して、天然多糖を化学的に処理することによりdPNAGを形成する。例えば、天然PNAGを、pHが10以上に上昇するような塩基性溶液で処理する。例えば、PNAGを、0.1〜5 M、0.2〜4 M、0.3〜3 M、0.5〜2 M、0.75〜1.5 M又は1 MのNaOH、KOH又はNH4OHで処理する。処理は、20〜100、25〜80、30〜60又は30〜50又は35〜45℃の温度で、少なくとも10若しくは30分、又は1、2、3、4、5、10、15若しくは20時間である。dPNAGは、WO 04/43405号に記載のように調製することができる。]
[0076] 本発明の免疫原性組成物に含まれる多糖は、必要に応じて、以下に記載のようにキャリアタンパク質にコンジュゲートさせるか、又はあるいはコンジュゲートさせない。]
[0077] 黄色ブドウ球菌(S.aureus)に由来する5型及び8型多糖
ヒトにおいて感染を引き起こす黄色ブドウ球菌の多くの株は、5型又は8型多糖を含む。約60%のヒト株が8型であり、約30%が5型である。5型及び8型莢膜多糖抗原の構造は、Moreauら、Carbohydrate Res. 201; 285 (1990)及びFournierら、Infect. Immun. 45; 87 (1984)に記載されている。両方とも、その反復単位中にFucNAcp並びにManNAcAを有し、これを用いてスルフヒドリル基を導入することができる。報告されている構造は以下の通りであった:
5型
→4)-β-D-ManNAcA(3OAc)-(1→4)-α-L-FucNAc(1→3)-β-D-FucNAc-(1→
8型
→3)-β-D-ManNAcA(4OAc)-(1→3)-α-L-FucNAc(1→3)-β-D-FucNAc-(1→]
[0078] 最近(Jones Carbohydrate Research 340, 1097-1106 (2005))、NMR分光法により以下の構造に修正された:
5型
→4)-β-D-ManNAcA-(1→4)-α-L-FucNAc(3OAc)-(1→3)-β-D-FucNAc-(1→
8型
→3)-β-D-ManNAcA(4OAc)-(1→3)-α-L-FucNAc(1→3)-α-D-FucNAc(1→]
[0079] 多糖は、例えば、米国特許第6,294,177号に記載のような当業者に周知の方法を用いて、黄色ブドウ球菌の好適な株から抽出することができる。例えば、ATCC12902は、5型黄色ブドウ球菌株であり、ATCC 12605は、8型黄色ブドウ球菌株である。]
[0080] 多糖は天然のサイズのものであるか、又はあるいは、例えば、微小流体化、超音波照射若しくは化学的処理によりサイジングすることができる。本発明はまた、黄色ブドウ球菌に由来する5型及び8型多糖から誘導されたオリゴ糖も包含する。]
[0081] 本発明の免疫原性組成物に含まれる5型及び8型多糖は、好ましくは以下に記載のようにキャリアタンパク質とコンジュゲートされてもよいし、あるいはコンジュゲートされなくてもよい。]
[0082] あるいは、本発明の免疫原性組成物は、5型又は8型多糖のいずれかを含む。]
[0083] 黄色ブドウ球菌336抗原
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、黄色ブドウ球菌336抗原(米国特許第6,294,177号に記載)を含む。]
[0084] 336抗原は、β結合ヘキソサミンを含み、O-アセチル基を含まず、ATCC55804として寄託された黄色ブドウ球菌336型に対する抗体に特異的に結合する。]
[0085] 一実施形態においては、336抗原は天然のサイズのものであるか、又はあるいは、例えば、微小流体化、超音波照射若しくは化学的処理によりサイジングすることができる多糖である。本発明はまた、336抗原から誘導されたオリゴ糖も対象とする。]
[0086] 本発明の免疫原性組成物に含まれる場合、336抗原を、好ましくは、以下に記載のキャリアタンパク質にコンジュゲートさせるか、又はあるいはコンジュゲートさせない。]
[0087] 表皮ブドウ球菌由来のI型、II型及びIII型多糖
表皮ブドウ球菌のATCC-31432株、SE-360株及びSE-10株は、それぞれ、I型、II型及びIII型の3つの異なる莢膜型を特徴とする(Ichiman及びYoshida 1981, J. Appl. Bacteriol. 51; 229)。それぞれの血清型の表皮ブドウ球菌から抽出された莢膜多糖は、I、II及びIII型多糖を構成する。多糖は、米国特許第4,197,290号に記載の方法又はIchimanら、1991, J. Appl. Bacteriol. 71; 176に記載の方法などのいくつかの方法により抽出することができる。]
[0088] 本発明の一実施形態においては、本免疫原性組成物は、表皮ブドウ球菌に由来するI型及び/又はII型及び/又はIII型多糖又はオリゴ糖を含む。]
[0089] 多糖は天然のサイズのものであるか、又はあるいは、例えば、微小流体化、超音波照射若しくは化学的切断によりサイジングすることができる。本発明はまた、表皮ブドウ球菌株から抽出されたオリゴ糖も対象とする。]
[0090] これらの多糖はコンジュゲートさせないか、又は好ましくは、以下に記載のようにコンジュゲートさせる。]
[0091] 糖のコンジュゲート
ワクチン接種における多糖の使用に関連する問題は、多糖自体が弱い免疫原であるという事実である。この免疫原性の欠如を克服するように設計された戦略としては、バイスタンダー(bystander)T細胞ヘルプを提供する大きいタンパク質キャリアへの多糖の結合が挙げられる。本発明において用いられる多糖を、バイスタンダーT細胞ヘルプを提供するタンパク質キャリアに連結するのが好ましい。多糖又はオリゴ糖免疫原への結合のために現在用いられているこれらのキャリアの例としては、ジフテリア及び破傷風トキソイド(DT、DT Crm197及びTT)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)エキソタンパク質A(rEPA)並びにツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)、インフルエンザ菌に由来するプロテインD、ニューモリシン又は上記のいずれかの断片が挙げられる。使用にとって好適な断片としては、T-ヘルパーエピトープを包含する断片が挙げられる。特に、プロテインD断片は、好ましくは、該タンパク質のN末端の1/3を含むであろう。プロテインDは、インフルエンザ菌に由来するIgD結合タンパク質である(EP 0 594 610 B1)。]
[0092] これらのキャリアの一般的な使用、及び抗多糖抗体応答の誘導におけるそれらの成功にもかかわらず、これらにはいくつかの欠点が付随する。例えば、抗原特異的な免疫応答は、キャリア、この場合には破傷風トキシンに対する既存の抗体の存在によって抑制されることがあることが知られている(Di John et al; Lancet, December 16, 1989)。大きな集団においては、DT及びTTの両方の抗原を用いて慣用的にワクチン接種されているため、DT及びTTの両方に対する既存の免疫を有する人の割合は非常に高い。UKにおいては、例えば95%の小児に対して、DT及びTTの両方を含むDTPワクチンが投与されている。他の著者は、動物モデルにおけるペプチドワクチンに対するエピトープ抑制の問題について記載している(Sadら、Immunology, 1991; 74:223-227;Schutzeら、J. Immunol. 135: 4, 1985; 2319-2322)。]
[0093] KLHは、強力な免疫原として知られ、ヒト臨床試験においてIgEペプチドのキャリアとして既に使用されている。しかし、いくつかの有害な反応(DTH様反応又はIgE感作)並びに抗体に対する抗体応答が観察されている。]
[0094] 本発明の免疫原性組成物における使用に対する別のキャリアタンパク質は、単一のブドウ球菌タンパク質又はその断片、あるいは以下の節に列挙されるブドウ球菌タンパク質の少なくとも又は正確に1、2、3若しくは4個以上を含む融合タンパク質である。]
[0095] ブドウ球菌ワクチンの内容における使用にとって特に有利である新しいキャリアタンパク質は、ブドウ球菌αトキソイドである。コンジュゲートのプロセスが毒性を低下させるため、天然の形態を多糖にコンジュゲートさせることができる。残留毒性がより低いため、好ましくは、His35Leu又はHis35Arg変異体などの遺伝的に解毒されたαトキシンをキャリアとして用いる。あるいは、架橋試薬、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドを用いる処理により、αトキシンを化学的に解毒する。好ましくは、架橋試薬、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドを用いる処理により、遺伝的に解毒されたαトキシンを、必要に応じて化学的に解毒して、毒性をさらに低下させる。他のブドウ球菌タンパク質又はその断片、特に上述したものは、上述した多糖のためのキャリアタンパク質として使用することができる。キャリアタンパク質は、上述したブドウ球菌タンパク質の少なくとも若しくは正確に1、2、3、4若しくは5個を含む融合タンパク質としうる。]
[0096] 周知の方法(例えば、Likhiteによる米国特許第4,372,945号、Armorらによる米国特許第4,474,757号、及びJenningsら、米国特許第4,356,170号)のいずれかにより多糖をキャリアタンパク質に結合させることができる。好ましくは、CDAP結合化学を実施する(WO95/08348号参照)。]
[0097] CDAPでは、シアニル化試薬1-シアノ-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)を多糖-タンパク質コンジュゲートの合成に用いるのが好ましい。シアニル化反応は、比較的穏やかな条件下で行なうことができ、これによって、アルカリ感受性多糖の加水分解を阻止する。この合成により、キャリアタンパク質に直接結合させることができる。]
[0098] 多糖は水又は生理食塩水に可溶化する。CDAPをアセトニトリルに溶解し、その直後に多糖溶液に添加する。CDAPは、多糖のヒドロキシル基と反応して、シアネートエステルを形成する。活性化ステップの後、キャリアタンパク質を添加する。リシンのアミノ基が活性化多糖と反応して、イソ尿素共有結合を形成する。結合反応後、多量の過剰グリシンを添加することにより、残留活性化官能基をクエンチする。生成物をゲル透過カラムに通過させ、非反応キャリアタンパク質と残留試薬を除去する。]
[0099] タンパク質
本発明の免疫原性組成物は、場合により、ブドウ球菌タンパク質を含んでもよく、場合により黄色ブドウ球菌又は表皮ブドウ球菌由来のタンパク質を含んでもよい。本発明のいくつかの実施形態は、黄色ブドウ球菌由来及び表皮ブドウ球菌由来のタンパク質の両方を含む。]
[0100] HarA又はMRPIIと別のブドウ球菌タンパク質との組合せを含む本発明の別の態様は、上述したPNAG及び/又は莢膜多糖と組み合わせてもよい。本発明のこれらの態様は、上述したタンパク質、又はタンパク質の組合せを含んでもよい。]
[0101] 以下のタンパク質の説明は、HarA及びMRPII、並びに本発明の免疫原性組成物中に存在する他のタンパク質に適用される。]
[0102] 一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、WO 06/32475号又はWO 07/113222号に示される任意の配列に対して、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも97〜99%又は完全な同一性を有するアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質を含む。]
[0103] タンパク質を本明細書に具体的に言及する場合、それは、好ましくは、天然若しくは組換えの完全長タンパク質又は必要に応じて、任意のシグナル配列が除去された成熟タンパク質に対する参照である。このタンパク質を、ブドウ球菌株から直接単離するか、又は組換えDNA技術により製造することができる。前記タンパク質の免疫原性断片を、本発明の免疫原性組成物中に組込むことができる。これらは、前記タンパク質のアミノ酸配列から隣接して取得された、少なくとも10個のアミノ酸、好ましくは20個のアミノ酸、より好ましくは30個のアミノ酸、より好ましくは40個のアミノ酸又は50個のアミノ酸、最も好ましくは100個のアミノ酸を含む断片である。さらに、そのような免疫原性断片は、ブドウ球菌タンパク質に対して生成された抗体又は哺乳動物宿主のブドウ球菌への感染により生成された抗体と免疫学的に反応する。免疫原性断片はまた、有効用量で(単独で、若しくはキャリアに結合したハプテンとして)投与された場合、ブドウ球菌感染に対する防御免疫応答を誘発する断片も含み、より好ましくは、それは黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌感染に対して防御的である。そのような免疫原性断片としては、例えば、N末端リーダー配列及び/又は膜貫通ドメイン及び/又はC末端アンカードメインを欠くタンパク質が挙げられる。好ましい態様においては、本発明において免疫原性断片は、断片配列の全長にわたって、WO 06/32475号又はWO 07/113222号に示される配列に対して、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも97〜99%の同一性を有するタンパク質の細胞外ドメインの実質的に全部を含む。]
[0104] また本発明の免疫原性組成物は、ブドウ球菌タンパク質又はその断片の組換え融合タンパク質を含む。これらは、同じタンパク質中に異なるブドウ球菌タンパク質又はその断片を組み合わせても良い。あるいは、本発明はまた、T細胞エピトープ若しくは精製タグの提供因子、例えば、β-ガラクトシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、FLAG、mycタグ、ポリヒスチジンなどのエピトープタグ、又はインフルエンザウイルスヘマグルチニンなどのウイルス表面タンパク質、又は破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197などの細菌タンパク質などの異種配列との融合タンパク質として、ブドウ球菌タンパク質又はその断片の個々の融合タンパク質をも含む。]
[0105] タンパク質
本発明の免疫原性組成物は、必要に応じて、以下に記載の1種以上のタンパク質を含んでもよい。これらのタンパク質の多くは、細胞外成分結合タンパク質、輸送タンパク質トキシン、及び病原性調節因子、又は構造タンパク質のカテゴリー内にある。本発明の免疫原性組成物は、必要に応じて、ブドウ球菌細胞外成分結合タンパク質又はブドウ球菌輸送タンパク質又はブドウ球菌トキシン又は病原性調節因子又は構造タンパク質を含んでもよい。本発明の免疫原性組成物は、必要に応じて、2、3、4、5若しくは6種のブドウ球菌タンパク質を含んでもよい。]
[0106] 以下の表は、WO 06/32475号に見られる好ましいタンパク質配列及びDNA配列の配列番号を記載する。SAは黄色ブドウ球菌に由来する配列を示し、SEは表皮ブドウ球菌に由来する配列を示す。]
[0107] ]
[0108] ワクチン接種
本発明の免疫原性組成物を含むワクチン調製物を用いて、全身又は粘膜経路を介して該ワクチンを投与することにより、感染に罹りやすい哺乳動物を保護又は治療することができる。これらの投与としては、筋肉内、腹腔内、皮内若しくは皮下経路を介する注入;又は口/消化器、呼吸器若しくは尿生殖器への粘膜投与が挙げられる。本発明のワクチンを単回用量として投与することができるが、その成分を同時に又は異なる時点で一緒に同時投与してもよい(例えば、肺炎球菌糖コンジュゲートを、互いに関して免疫応答の最適な調整のために、別々に、同時に、又はワクチンの任意の細菌タンパク質成分の投与の1〜2週間後に、投与することができる)。さらに、本発明のワクチンを、プライミング用量についてはIMで、追加免疫用量についてはINで投与することができる。]
[0109] ワクチン中のタンパク質抗原の含量は、典型的には1〜100μg、好ましくは5〜50μg、最も典型的には5〜25μgの範囲にあるであろう。初回ワクチン接種後、被験体は十分に間隔を空けた1回又は数回の追加免疫を受けてもよい。]
[0110] ワクチン調製物は、一般的にはVaccine Design (「サブユニット及びアジュバント手法(The subunit and adjuvant approach)」)(Powell M.F. & Newman M.J.(編)) (1995) Plenum Press New York)に記載されている。リポソーム内の封入は、Fullerton, 米国特許第4,235,877号に記載されている。]
[0111] 本発明のワクチンを溶液中で保存するか、又は凍結乾燥することができる。好ましくは、この溶液をスクロース又はラクトースなどの糖の存在下で凍結乾燥する。それらを凍結乾燥し、使用前に即時に再構成させるのがさらに好ましい。]
[0112] 本発明の一態様においては、必要に応じて凍結乾燥形態の本発明の免疫原性組成物を含むバイアル、及び本明細書に記載のアジュバントを含むバイアルを含むワクチンキットが提供される。本発明のこの態様においては、アジュバントを用いて凍結乾燥された免疫原性組成物を再構成することができると想定される。]
[0113] 本発明のワクチンは任意の経路により投与することができるが、皮膚への記載のワクチンの投与(ID)は、本発明の一実施形態を形成する。ヒトの皮膚は、表皮の上にある角質層と呼ばれる外側の「角質」上皮を含む。この表皮の下は、真皮と呼ばれる層であり、次いで皮下組織がある。研究者らにより、皮膚、特に真皮へのワクチンの注入が免疫応答を刺激し、いくつかのさらなる利点と関連することも示された。本明細書に記載のワクチンを用いる皮内ワクチン接種は、本発明の好ましい特徴を形成する。]
[0114] 皮内注入の従来技術である「マントゥー法」は、皮膚を洗浄した後、一方の手を伸ばし、狭いゲージの針(26〜31ゲージ)の斜角を上に向け、針を10〜15°の角度で挿入するステップを含む。針の斜角が挿入された後、針の円筒部を低くし、皮膚の下でそれを上昇させるためにわずかに圧力をかけながらさらに進行させる。次いで、液体を非常にゆっくりと注入することによって、皮膚表面上に水疱又は隆起を形成させた後、針をゆっくりと引き抜く。]
[0115] より最近では、液体薬剤を皮膚の中又は皮膚を横切って投与するように特別に設計されたデバイス、例えば、WO 99/34850号及びEP 1092444に記載のデバイス、また、例えばWO 01/13977号; 米国特許第5,480,381号、同第5,599,302号、同第5,334,144号、同第5,993,412号、同第5,649,912号、同第5,569,189号、同第5,704,911号、同第5,383,851号、同第5,893,397号、同第5,466,220号、同第5,339,163号、同第5,312,335号、同第5,503,627号、同第5,064,413号、同第5,520,639号、同第4,596,556号、同第4,790,824号、同第4,941,880号、同第4,940,460号、WO 97/37705号及びWO 97/13537号に記載のジェット注入デバイスが記載されている。ワクチン調製物の皮内投与の別の方法としては、従来のシリンジ及び針、又は固体ワクチンの弾道送達のために設計されたデバイス(WO 99/27961号)、又は経皮パッチ(WO 97/48440号; WO 98/28037号);又は皮膚の表面への適用(皮内若しくは経皮送達、WO 98/20734号;WO 98/28037号)がある。]
[0116] 本発明のワクチンを皮膚、又はより具体的には真皮に投与しようとする場合、ワクチンは少ない液体容量、特に、約0.05 ml〜0.2 mlの容量にある。]
[0117] 本発明の皮膚又は皮内ワクチン中の抗原の含量は、筋肉内ワクチンにみとめられるものと同様の慣用的な用量であってよい(上記参照)。しかしながら、製剤が「低用量」であってよいことが皮膚又は皮内ワクチンの特徴である。従って、「低用量」ワクチン中のタンパク質抗原は、用量あたり0.1〜10μg、好ましくは0.1〜5μgのできるだけ少ない量で存在することが好ましい。糖(好ましくは、コンジュゲートされた)抗原は、用量あたり0.01〜1μg、好ましくは0.01〜0.5μgの範囲の糖で存在してもよい。]
[0118] 本明細書で用いられる用語「皮内送達」とは、皮膚中の真皮の領域へのワクチンの送達を意味する。しかしながら、ワクチンは真皮のみに局在化する必要はない。真皮はヒトの皮膚の表面から約1.0〜約2.0 mmに位置する皮膚中の層であるが、個体間及び身体の異なる部分において一定量の変動が存在する。一般的には、皮膚の表面から1.5 mm下に行くことにより真皮に到達すると期待することができる。真皮は表面の角質層と表皮と、下の皮下層との間に位置する。送達方法に応じて、最終的にはワクチンを真皮内にのみ、若しくは主に真皮内に局在化させるか、又は最終的には表皮と真皮内に分布させることができる。]
[0119] 各ワクチン用量中の各抗原の量を、典型的なワクチン被接種者において有意な有害副作用をもたらさずに免疫防御応答を誘導する量として選択する。そのような量は、特定の免疫原を使用し、それを提供する方法に応じて変化するであろう。]
[0120] さらなる実施形態においては、実質的に本明細書に記載の組成物の投与による、疾患に罹りやすいか又は疾患に罹患している個体の治療の方法が提供される。]
[0121] また、個体が、感染性細菌及びウイルス疾患、寄生虫疾患、特に、細胞内病原体疾患、増殖性疾患、例えば前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、卵巣癌若しくはメラノーマ癌など;非癌性慢性障害、アレルギーを含む群から選択される疾患に罹ることを予防する方法であって、該個体への実質的に本明細書に記載の組成物の投与を含む方法も提供される。]
[0122] さらなる実施形態においては、抗原又は抗原組成物と、ヒト用量あたり0.5〜10 mgの代謝可能油、0.5〜11 mgのトコール及び0.1〜4 mgの乳化剤を含む水中油型エマルジョンからなるアジュバント組成物とを含む、症状又は疾患の予防的治療又は治療における使用のためのワクチン組成物が提供される。]
[0123] さらなる実施形態においては、症状又は疾患の予防的治療又は治療における使用のための医薬の製造における、抗原又は抗原組成物と、ヒト用量あたり0.5〜10 mgの代謝可能油、0.5〜11 mgのトコール及び0.1〜4 mgの乳化剤を含む水中油型エマルジョンからなるアジュバント組成物とを含むワクチン組成物の使用が提供される。]
[0124] 本発明を、以下の、非限定的な実施例を参照することによりさらに説明する。]
[0125] 実施例Iは、マウス、フェレット、ブタ及びヒト試験において用いられる免疫学的読み出し方法を記載する。
実施例IIは、例示された試験において用いられた水中油型エマルジョン及びアジュバント製剤の調製を記載する。
実施例IIIは、スプリットインフルエンザ抗原調製物及び様々な用量のAS03アジュバントを含むワクチンを用いた18〜59歳の成人集団における臨床試験を示す。
実施例IVは、プライミング(初回投与)されたBALB/cマウスにおけるアジュバント添加及びアジュバント非添加スプリットインフルエンザワクチン(様々な用量のAS03アジュバントを含む)の前臨床評価を示す。
実施例Vは、プライミング(初回投与)されたC57Bl/6マウスにおけるアジュバント添加及びアジュバント非添加スプリットインフルエンザワクチン(様々な用量のAS03アジュバントを含む)の前臨床評価を示す。
実施例VIは、プライミングされたC57Bl/6マウスにおけるアジュバント添加及びアジュバント非添加スプリットインフルエンザワクチン(様々な用量のAS03アジュバント及び低用量の抗原を含む)の前臨床評価を示す。
実施例VIIは、ナイーブなC57Bl/6マウスにおけるアジュバント添加及びアジュバント非添加スプリットH5N1ワクチン(様々な用量のAS03アジュバント及び抗原を含む)の前臨床評価を示す。
実施例VIIIは、プライミングされた巨大白ブタにおけるアジュバント添加及びアジュバント非添加インフルエンザワクチンの前臨床評価を示す。]
[0126] 実施例I−免疫学的読み出し方法
I.1.マウスの方法
I.1.1.血球凝集抑制試験
試験原理(古典的手順)
3種の(季節性)インフルエンザウイルス株に対する抗ヘマグルチニン抗体力価を、血球凝集抑制試験(HI)を用いて決定する。HI試験の原理は、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)による赤血球(RBC)の血球凝集を阻害する特定の抗インフルエンザ抗体の能力に基づく。熱不活化血清をKaolin及びRBCにより処理して、非特異的阻害因子を除去する。予備処理後、血清の2倍希釈液を、4血球凝集単位の各インフルエンザ株と共にインキュベートする。次いで、赤血球を添加し、凝集の阻害をスコア化する。血球凝集を完全に阻害した血清の最も高い希釈率の逆数として、力価を表す。血清の最初の希釈率が1:20である場合、検出不可能なレベルを10に等しい力価としてスコア化する。]
[0127] H5N1への適合(ウマ赤血球を用いるHIの具体的説明):
抗HA抗体を決定するための古典的HIアッセイはH5N1株についてはよく機能しないと記録されているため、ウマRBCを用いて適合化されたプロトコルを用いた。ウマの赤血球を、H5N1パンデミック株のために用いた。0.5%BSA(ウシ血清アルブミン、最終濃度)を含むリン酸バッファー中の0.5%(最終濃度)のウマ赤血球細胞懸濁液。この懸濁液を、同じリン酸バッファーを用いて赤血球を洗浄し、次いで遠心分離工程(10分、2000 rpm)を行って毎日調製する。この洗浄工程を、1回繰り返す必要がある。血清とウイルス懸濁液の反応混合物へのウマ赤血球の添加後、ウマ赤血球の低い沈降速度に起因して、室温(RT、20℃+/-2℃)で2時間、プレートをインキュベートする必要がある。]
[0128] 統計学的分析
統計学的分析を、UNISTATを用いてワクチン接種後のHI力価に対して実施した。分散の分析のために適用したプロトコルを、以下のように簡単に説明することができる:
・データのLog変換、
・群分布の正規性を検証するための各集団(群)に対するShapiro-Wilk検定、
・異なる集団(群)間の分散の均一性を検証するためのCochran検定、
・選択されたデータに対する分散の分析、
・2方向ANOVAの相互作用に関する検定、
・複数比較のためのTukey-HSD検定。]
[0129] I.1.2.細胞内サイトカイン染色
この技術は、サイトカイン産生に基づいて抗原特異的Tリンパ球の定量化を可能にする:エフェクターT細胞及び/若しくはエフェクター記憶T細胞はIFN-γを産生し、並びに/又は中央記憶T細胞はIL-2を産生する。PBMCを、免疫の7日後に回収する。]
[0130] リンパ球を、分泌阻害剤(ブレフェルディン)の存在下でin vitroで再刺激する。次いで、これらの細胞を、蛍光抗体(CD4、CD8、IFN-γ及びIL-2)を用いる慣用の免疫蛍光手順により処理する。結果を、CD4/CD8 T細胞内のサイトカイン陽性細胞の頻度として表す。T細胞のサイトカインの細胞内染色を、2回目の免疫の7日後にPBMCに対して実施した。血液をマウスから回収し、ヘパリン添加培地RPMI+Add中にプールした。血液については、RPMI+Addで希釈されたPBL懸濁液を、推奨されたプロトコルに従ってLympholyte-Mammal勾配(2500 rpm、室温で20分間遠心分離)上で層化した。境界面の単核細胞を取り出し、RPMI+Add中で2回洗浄し、PBMC懸濁液をRPMI 5%ウシ胎仔血清中、2 x 106細胞/mlに調整した。]
[0131] PBMCのin vitroでの抗原刺激を、Whole FI (1μgHA/株)と共に1 x 107細胞/ml(チューブFACS)の最終濃度で実行した後、抗CD28及び抗CD49d(両方とも1μg/ml)を添加して37℃で2時間インキュベートした。]
[0132] 抗原再刺激工程の後、PBMCを、37℃のBrefeldin(1μg/ml)の存在下で37℃で一晩インキュベートして、サイトカイン分泌を阻害する。IFN-γ/IL-2/CD4/CD8染色を以下のように実施した:細胞懸濁液を洗浄し、2%Fcブロッキング試薬(1/50;2.4G2)を含む50μlのPBS1%FCS中に再懸濁した。4℃で10分間インキュベートした後、抗CD4-PE(2/50)及び抗CD8 perCp(3/50)の混合物50μlを添加し、4℃で30分間インキュベートした。PBS 1%FCS中で洗浄した後、200μlのCytofix-Cytoperm(Kit BD)中に再懸濁することにより細胞を透過処理し、4℃で20分間インキュベートした。次いで、細胞をPerm Wash (Kit BD)で洗浄し、Perm Wash中に希釈した抗IFN-γAPC(1/50)+抗IL-2FITC(1/50)の混合物50μlで再懸濁した。4℃で最小で2時間、最大で一晩インキュベートした後、細胞をPerm Washで洗浄し、PBS 1%FCS + 1%パラホルムアルデヒド中に再懸濁した。サンプル分析をFACSにより実施した。生細胞をゲーティングし(FSC/SSC)、CD4+T細胞上で約20,000事象(リンパ球)又は35,000事象について獲得した。IFN-γ+又はIL2+の割合を、CD4+及びCD8+ゲーティング集団について算出した。]
[0133] I.1.3. 抗H5N1ELISA
抗H5N1Ig、IgG1及びIgG2b抗体力価の定量を、コーティングとしてスプリットH5N1を用いるELISAにより実施した。ウイルス及び抗体溶液を、100μl/ウェルで用いた。スプリットウイルスH5N1を、PBS中、1μg/mlの最終濃度で希釈し、96穴マイクロタイタープレート(Maxisorb Immunoplate Nunc 439454)のウェルに4℃で一晩かけて吸着させた。次いで、プレートを、200μl/ウェルの1%BSA及び0.1%Tween 20(飽和バッファー)を含むPBSと共に37℃で1時間インキュベートした。飽和バッファー中の血清の12個の2倍希釈液をH5N1被覆プレートに添加し、37℃で1時間30分インキュベートした。プレートをPBS 0.1%Tween 20で4回洗浄した。1/500に希釈されたビオチン化コンジュゲート化抗マウスIg(Prozan-E0413)若しくはビオチン化コンジュゲート化抗マウスIgG1(Imtech 1070-08)、又はPBS 1%BSA 0.1%Tween 20中に1/4000に希釈されたビオチン化抗マウスIgG2b(Imtech 1090-08)を各ウェルに添加し、37℃で1時間30分インキュベートした。洗浄工程の後、PBS 1%BSA Tween 20中で1/10000に希釈されたストレプトアビジン-ビオチン-ペルオキシダーゼコンジュゲート(Prozan P0397)と共に30分間インキュベートした。]
[0134] 比色的明示のために、プレートを、0.1 Mクエン酸バッファーpH 4.2中の0.04% o-フェニルジアミン(Sigma P4664)及び0.03% H2O2の溶液と共に22℃で20分間インキュベートした。反応を2N H2SO4を用いて停止させ、マイクロプレートを490〜630 nmで読み取った。]
[0135] I.2.フェレットの方法
I.2.1.血球凝集抑制試験(HI)
試験手順
3種のインフルエンザウイルス株に対する抗ヘマグルチニン抗体力価を、血球凝集抑制試験(HI)を用いて決定した。HI試験の原理は、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)によるニワトリ赤血球(RBC)の血球凝集を阻害する特定の抗インフルエンザ抗体の能力に基づく。最初に血清を25%ノイラミニダーゼ溶液(RDE)で処理し、熱不活化して、非特異的阻害因子を除去した。予備処理後、血清の2倍希釈液を、4血球凝集単位の各インフルエンザ株と共にインキュベートした。次いで、ニワトリ赤血球を添加し、凝集の阻害をスコア化した。血球凝集を完全に阻害した血清の最も高い希釈率の逆数として、力価を表した。血清の最初の希釈率が1:10である場合、検出不可能なレベルを5に等しい力価としてスコア化した。]
[0136] 統計学的分析
統計学的分析を、UNISTATを用いてHI力価(41日目、チャレンジ前)に対して実施した。分散の分析のために適用したプロトコルを、以下のように簡単に説明することができる:
・データのLog変換、
・群分布の正規性を検証するための各集団(群)に対するShapiro-Wilk検定、
・異なる集団(群)間の分散の均一性を検証するためのCochran検定、
・1方向ANOVAの相互作用に関する検定、
・複数比較のためのTuckey-HSD検定。]
[0137] I.2.2.体温モニター
個体の温度を、トランスミッターを用いて、及びテレメトリー記録によりチャレンジ期間の間にモニターした。全ての埋込み物を調べ、改造し、新しい補正をDSI(Data Sciences International, Centaurusweg 123, 5015 TC Tilburg, The Netherlands)により実施した後、腹腔中に入れた。全ての動物を、これらの実験の間に1個のケージ中で個々に飼育した。温度をチャレンジの4日前からチャレンジの7日後まで15分毎に記録した。]
[0138] I.2.3.鼻洗浄
覚醒した動物の両方の鼻孔に5 mlのPBSを投与することにより、鼻洗浄を行った。接種物をペトリ皿中に回収し、ドライアイス上のサンプル容器中に入れた。]
[0139] 鼻洗浄液中のウイルス力価測定
全ての鼻サンプルを最初にSpin Xフィルター(Costar)を通して滅菌濾過して、細菌夾雑物を除去した。鼻洗浄液の連続10倍希釈液50μlを、50μlの培地を含むマイクロタイタープレート(10ウェル/希釈液)に移した。100μlのMDCK細胞(2.4 x 105細胞/ml)を各ウェルに添加し、35℃で5〜7日間インキュベートした。]
[0140] インキュベーションの5〜7日後、培養培地を穏やかに除去し、100μlの1/20 WST-1を含有する培地を添加し、さらに18時間インキュベートした。]
[0141] 生細胞によるWST-1の還元の際に産生された黄色ホルマザン色素の強度は、ウイルス力価測定アッセイの終わりにウェル中に存在する生細胞数に比例し、好適な波長(450ナノメートル)での各ウェルの吸光度を測定することにより定量する。カットオフを、未感染対照細胞のOD平均を0.3 ODと定義する(0.3 ODは未感染対照細胞のODの+/-3標準偏差に対応する)。ODがカットオフより小さい場合、正のスコアを定義し、対照的に、ODがカットオフより大きい場合、負のスコアを定義する。ウイルス出芽力価を、「Reen及びMuench」により決定し、Log TCID50/mlとして表した。]
[0142] I.3.ブタの方法
I.3.1.血球凝集抑制試験(HI)
試験手順
3種のインフルエンザウイルス株に対する抗ヘマグルチニン抗体力価を、血球凝集抑制試験(HI)を用いて決定した。HI試験の原理は、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)によるニワトリ赤血球(RBC)の血球凝集を阻害する特定の抗インフルエンザ抗体の能力に基づく。最初に血清を25%ノイラミニダーゼ溶液(RDE)で処理し、熱不活化して、非特異的阻害因子を除去した。予備処理後、血清の2倍希釈液を、4血球凝集単位の各インフルエンザ株と共にインキュベートした。次いで、ニワトリ赤血球を添加し、凝集の阻害をスコア化した。血球凝集を完全に阻害した血清の最も高い希釈率の逆数として、力価を表した。血清の最初の希釈率が1:10である場合、検出不可能なレベルを5に等しい力価としてスコア化した。]
[0143] 統計学的分析
統計学的分析を、UNISTATを用いてHI力価(41日目、チャレンジ前)に対して実施した。分散の分析のために適用したプロトコルを、以下のように簡単に説明することができる:
・データのLog変換、
・群分布の正規性を検証するための各集団(群)に対するShapiro-Wilk検定、
・異なる集団(群)間の分散の均一性を検証するためのCochran検定、
・1方向ANOVAの相互作用に関する検定、
・複数比較のためのTuckey-HSD検定。]
[0144] I.4. ヒトにおける免疫応答を評価するためのアッセイ
I.4.1.血球凝集抑制アッセイ
免疫応答を、WHO Collaborating Centre for influenza, Centres for Disease Control, Atlanta, USA (1991)により記載された方法を用いてHI抗体を測定することにより決定した。]
[0145] 4血球凝集抑制単位(4 HIU)の好適な抗原及び0.5%トリ赤血球懸濁液を用いる標準化されかつ徹底的に検証された微小化方法を用いて、解凍された凍結血清サンプルの抗体力価測定を行った。非特異的血清阻害因子を、熱処理及び受容体破壊酵素により除去した。]
[0146] 得られた血清を、HI抗体レベルについて評価した。最初の1:10の希釈率から開始して、連続希釈液(2倍ずつ)を、1:20480の最終希釈率まで調製した。]
[0147] 力価測定の終点を、血球凝集の完全な阻害(100%)を示す最も高い希釈率として取った。全てのアッセイを二重で行った。]
[0148] I.4.2.ノイラミニダーゼ阻害アッセイ
このアッセイをフェツイン被覆マイクロタイタープレート中で実施した。抗血清の2倍連続希釈液を調製し、標準化された量のインフルエンザA H3N2、H1N1又はインフルエンザBウイルスと混合した。この試験は、フェツインからノイラミン酸を酵素的に放出するノイラミニダーゼの生物学的活性に基づくものであった。末端ノイラミン酸の切断後、β-D-ガラクトース-N-アセチル-ガラクトサミンを脱マスキングした。ガラクトース構造に特異的に結合する、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ラッカセイ由来ピーナッツ凝集素をウェルに添加した。結合した凝集素の量を検出し、テトラメチルベンジジン(TMB)との基質反応において定量することができる。ウイルスノイラミニダーゼ活性を依然として少なくとも50%阻害する最も高い抗体希釈率を示し、これがNI力価である。]
[0149] I.4.3.中和抗体アッセイ
中和抗体測定を、解凍された凍結血清サンプルで行った。血清中に含まれる抗体によるウイルスの中和を、微小中和アッセイにおいて決定した。該アッセイにおけるさらなる処理を行わずに、血清を用いた。各血清を3回試験した。標準化された量のウイルスを、血清の連続希釈液と混合し、抗体とウイルスとの結合を可能にするためにインキュベートした。次いで、規定量のMDCK細胞を含む細胞懸濁液をウイルスと抗血清の混合物に添加し、33℃でインキュベートした。インキュベーション期間の後、ウイルスの複製を、ニワトリ赤血球の血球凝集により可視化した。血清の50%の中和力価を、Reed及びMuenchの方法により算出した。]
[0150] I.4.4.細胞媒介性免疫をサイトカインフローサイトメトリー(CFC)により評価した
末梢血抗原特異的CD4及びCD8 T細胞をin vitroで再刺激して、その対応する抗原と共にインキュベートした場合、IL-2、CD40L、TNF-α及びIFNを産生することができる。結果として、抗原特異的CD4及びCD8 T細胞を、細胞表現型並びに細胞内サイトカイン産生の慣用的な免疫蛍光標識を用いたフローサイトメトリーにより数えることができる。本研究においては、インフルエンザワクチン抗原並びに特定のインフルエンザタンパク質から誘導されたペプチドを抗原として用いて、インフルエンザ特異的T細胞を再刺激した。結果を、CD4又はCD8 T細胞亜集団内のサイトカイン陽性CD4又はCD8 T細胞の頻度として表した。]
[0151] I.4.5.統計学的方法
I.4.5.1. 主要評価項目
・ワクチン接種後の7日間の追跡期間(すなわち、ワクチン接種日及びその後の6日間)と全体にわたる応答型局所及び全身兆候及び徴候の割合、強度及びワクチン接種との関係。
・ワクチン接種後の21日間の追跡期間(すなわち、ワクチン接種日及びその後の20日間)と全体にわたる非応答型局所及び全身兆候及び徴候の割合、強度及びワクチン接種との関係。
・試験全体にわたる重篤な有害事象の発生。]
[0152] I.4.5.2.二次評価項目
液性免疫応答について:
観察される変数:
・0及び21日目:ワクチン中に示される3種のインフルエンザウイルス株(抗H1N1、抗H3N2及び抗B抗体)の各々に対して別々に試験された、血清血球凝集抑制(HI)及びNI抗体力価。
・0及び21日目:ワクチン中に示される3種のインフルエンザウイルス株の各々に対して別々に試験された、中和抗体力価。]
[0153] 誘導される変数(95%信頼区間と共に):
・ワクチン接種の前後における血清HI抗体の幾何学的平均力価(GMT)(95%信頼区間(95%CI))
・21日目における血清変換率*(95%CIと共に)
・21日目における変換係数**(95%CIと共に)
・21日目における血清防御率***(95%CIと共に)
・全ての時点における血清NI抗体GMT(95%信頼区間と共に)。
*各ワクチン株につき、0日目と比較した21日目における血清HI力価の少なくとも4倍の増加を有するワクチン被接種者の割合として定義された血清変換率。
**各ワクチン株につき、0日目と比較した21日目における血清HI GMTの増加倍数として定義された変換係数。
***通常は防御を示すと許容されるワクチン接種後(各ワクチン株につき)の血清HI力価=40であるワクチン被接種者の割合として定義された防御率。]
[0154] いくつかの臨床試験については、反応原性/安全性が二次評価項目であり、免疫原性が主要評価項目であってよいことが理解されるべきである。]
[0155] 細胞媒介性免疫(CMI)応答について:
観察される変数:
0及び21日目:異なる試験における106個あたりのサイトカイン陽性CD4/CD8細胞の頻度。
各試験は以下のものに対するCD4/CD8 T細胞の応答を定量するものである:
・ペプチドインフルエンザ(pf)抗原(これらの抗原の正確な性質及び起源を与える/説明する必要がある)
・スプリットインフルエンザ(sf)抗原
・全インフルエンザ(wf)抗原。]
[0156] 誘導される変数:
・少なくとも2種の異なるサイトカイン(CD40L、IL-2、IFNγ、TNFα)を産生する細胞
・少なくともCD40L及び別のサイトカイン(IL-2、TNFα、IFNγ)を産生する細胞
・少なくともIL-2及び別のサイトカイン(CD40L、TNFα、IFNγ)を産生する細胞
・少なくともIFNγ及び別のサイトカイン(IL-2、TNFα、CD40L)を産生する細胞
・少なくともTNFα及び別のサイトカイン(IL-2、CD40L、IFNγ)を産生する細胞。]
[0157] I.3.5.3.免疫原性の分析
免疫原性分析は全ワクチン接種コホートに基づいていた。各処置群について、以下のパラメーター(95%信頼区間と共に)を算出した:
・0及び21日目でのHI及びNI抗体の幾何学的平均力価(GMT)
・0及び21日目での中和抗体力価の幾何学的平均力価(GMT)
・21日目での変換係数
・0日目と比較した21日目における血清HI力価の少なくとも4倍の増加を有するワクチン被接種者の割合として定義された21日目での血清変換率(SC)
・血清HI力価=1:40を有するワクチン被接種者の割合として定義された21日目の防御率
・各ワクチン接種群、各時点(0日目、21日目)並びに各抗原(ペプチドインフルエンザ(pf)、スプリットインフルエンザ(sf)及び全インフルエンザ(wf))について、応答におけるCD4/CD8Tリンパ球分泌の頻度をまとめた(記述統計)
・それぞれ5つの異なる試験における各ワクチン接種群と各抗原(pf、sf、及びwf)に関する時点(前後)間の応答の個々の差異における記述統計
・ノンパラメトリック検定(Kruskall-Wallis検定)を用いて3群間の位置の差異を比較し、それぞれ5つの異なる試験における各抗原について統計学的p値を算出した。全ての有意差検定は両側検定であった。0.05以下のP値を、統計学的に有意であると考えた。]
[0158] 実施例II−水中油型エマルジョン及びアジュバント製剤の調製
特に指摘しない限り、以後の実施例で用いられる油/水型エマルジョンは、2種の油(α-トコフェロール及びスクアレン)からなる有機相と、乳化剤としてTween 80を含むPBSの水相とから構成される。特に指摘しない限り、以下の水中油型エマルジョン成分(最終濃度で示される):2.5%スクアレン(v/v)、2.5%α-トコフェロール(v/v)、0.9%ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(v/v)(Tween 80)(WO 95/17210号を参照)を含む、以後の実施例で用いられる水中油型エマルジョンアジュバント製剤を作製した。以後の実施例においてはAS03と呼ばれるこのエマルジョンを、2倍濃縮物として以下のように調製した。]
[0159] II.1.エマルジョンSB62の調製
この方法を、臨床及び前臨床実施例の節で報告される試験において用いた。SB62エマルジョンの調製物は、疎水性成分(DL-α-トコフェロール及びスクアレン)から構成される油相と、水溶性成分(陰イオン系界面活性剤Tween 80及びPBSmod(改質)、pH 6.8)を含有する水相とを強力な攪拌下で混合することにより作製する。攪拌しながら、油相(1/10全量)を水相(9/10全量)に移し、混合物を室温で15分間攪拌する。次いで、得られる混合物を、マイクロフルイダイザー(15000 PSI-8サイクル、又は実施例IIIに報告される臨床試験において用いられるアジュバントで3サイクル)の相互作用チャンバー中で剪断、衝撃及びキャビテーション力にかけて、マイクロメートル以下の液滴(100〜200 nmの分布)を製造する。得られるpHは6.8±0.1である。次いで、SB62エマルジョンを0.22μmの膜を通す濾過により滅菌し、滅菌バルクエマルジョンを2〜8℃でCupac容器中で冷蔵して保存する。滅菌不活性ガス(窒素又はアルゴン)を、少なくとも15秒間、SB62エマルジョンの最終バルク容器の死容積中にフラッシュする。]
[0160] SB62エマルジョンの最終的な組成は以下の通りである:
Tween 80:1.8%(v/v) 19.4 mg/ml;スクアレン:5%(v/v) 42.8 mg/ml;α-トコフェロール:5%(v/v) 47.5 mg/ml;PBS-mod:NaCl 121 mM、KCl 2.38 mM、Na2HPO4 7.14 mM、KH2PO4 1.3 mM;pH 6.8±0.1。]
[0161] 実施例III−スプリットインフルエンザ抗原調製物と種々の用量のAS03アジュバントを含むワクチン(Flu-LD-004)を用いる18〜59歳の成人集団における臨床試験
III.1. はじめに
第IIフェーズの制御化無作為化単盲検を、2006年に18〜59歳の成人集団において行って、2つの用量のAS03アジュバントを含むGlaxoSmithKline Biologicalsの低用量インフルエンザ候補ワクチン(すなわち、株あたり5μgのHAを含む)の免疫原性、安全性及び反応原性を評価した。液性免疫応答(すなわち、抗ヘマグルチニン)を、1用量のAS03アジュバント添加ワクチンの筋肉内投与の21日後に測定した。Fluarix(商標)を参照として用いた。]
[0162] III.2.試験設計
3群の被験者に並行して以下のワクチンを筋肉内投与した:
・100人の被験者の1群には、AS03をアジュバント添加された5μgのHAを含む低用量のスプリットウイルスインフルエンザワクチン(FluLD1/1)の1回の注入を行う
・100人の被験者の1群には、半量のAS03(AD03 1/2)をアジュバント添加された5μgのHAを含む低用量のスプリットウイルスインフルエンザワクチン(FluLD1/2)の1回の注入を行う
・100人の被験者の1群には、1用量のFluarix(商標)(Fluarix)を投与する。]
[0163] スケジュール:0日目にインフルエンザワクチンの1回のIM注入、0日目及び21日目に試験所訪問、血液サンプル回収(HI抗体決定)、並びに30日目にさらに電話連絡(試験結果)。]
[0164] この試験において用いた標準三価スプリットインフルエンザワクチン-Fluarix(商標)は、GlaxoSmithKline Biologicalsにより開発及び製造され、2006年から市販されているワクチンである。]
[0165] III.3.試験評価項目
III.3.1. 主要評価項目
・抗ヘマグルチニン抗体力価に関して試験ワクチンにより誘導される液性免疫応答を評価すること:
0及び21日目の観察される変数:血清血球凝集抑制抗体力価
誘導される変数(95%信頼区間と共に):
・0及び21日目の血清抗体の幾何学的平均力価(GMT)
・21日目の血清変換率*
・21日目の変換係数**
・0及び21日目の防御率***
*ヘマグルチニン抗体応答の血清変換率を、ワクチン接種前の力価1:10未満かつワクチン接種後の力価1:40以上を有するか、又はワクチン接種前の力価1:10以上かつワクチン接種後の力価の少なくとも4倍の増加、を有するワクチン被接種者の割合と定義する。
**0日目と比較してワクチン接種後の血清HI GMTの増加倍数として定義された変換係数;
***通常は防御を示すと許容されるワクチン接種後40以上の血清HI力価を有するワクチン被接種者の割合として定義される防御率。]
[0166] III.3.2.二次評価項目
・応答型局所及び全身有害事象、非応答型有害事象及び重篤な有害事象に関して試験ワクチンの安全性及び反応原性を評価すること:
1. 各群における各ワクチン接種後の7日間の追跡期間(すなわち、ワクチン接種日及びその後の6日間)の間の応答型局所及び全身兆候及び徴候の発生、強度及びワクチン接種との関係、
2. 各群における各ワクチン接種後の30日間の追跡期間(すなわち、ワクチン接種日及びその後の29日間)の間の非応答型局所及び全身兆候及び徴候の発生、強度及びワクチン接種との関係、
3. 各群における全試験期間の間の重篤な有害事象の発生及び関係。]
[0167] III.4.ワクチン組成物及び投与
III.4.1.ワクチン調製物
アジュバント非添加インフルエンザワクチンは、3種の一価ウイルス抗原バルク(それぞれ、インフルエンザA/H1N1株、A/H3N2株及びB株から調製)からなる三価スプリットビリオン不活化インフルエンザワクチンである。このワクチン中に存在する抗原は、1992年以来Fluarix(商標)(α-Rix(登録商標))として市場で入手可能であるライセンスされたFluarix(商標)ワクチンと同じであり、用量あたり15μgのHA/株を含む。FluLD臨床ロットに含まれるインフルエンザ株は、2006/2007年の北半球のために選択された株である:
・A/ニューカレドニア/20/99(H1N1)様株:A/ニューカレドニア/20/99(H1N1)IVR-116
・A/ウィスコンシン/67/2005(H3N2)様株:A/ウィスコンシン/67/2005(H3N2)NYMCX-161
・B/マレーシア/2506/2004。]
[0168] 抗原は卵中で増殖させたウイルスから誘導されたものである。スプリッティングをデオキシコール酸ナトリウムを用いて実行した後、不活化工程を、デオキシコール酸ナトリウム及びホルムアルデヒドのその後の作用を介して実施する。]
[0169] AS03アジュバント添加低用量インフルエンザ(FluLD)ワクチン(臨床ロット)は、市販のFluarix(商標)ワクチン(それぞれ、インフルエンザA/H1N1株、A/H3N2株及びB株から調製)に基づくものであるが、より少量の抗原含量を有し、GSKアジュバント系AS03を用いてアジュバント添加されたものである。AS03は、2種の生分解性油、スクアレン及びα-トコフェロール(ビタミンE)と、界面活性剤Polysorbate 80(Tween 80)とを含む水中油型エマルジョン(SB62)からなる。インフルエンザ抗原を、エマルジョンと単純に混合することによりアジュバント系の水相中に組み入れる。ワクチンロット中のFlu抗原を用いて導入されたアジュバントの量が異なる2種の製剤を試験した。アジュバント添加ワクチンは、アジュバント系AS03の全用量(AS03)又は半分の用量(AS03 1/2)と混合された、用量あたり各インフルエンザウイルス株の5μgのヘマグルチニン(HA)を含む。賦形剤は以下のもの:Polysorbate 80(Tween 80)、オクトキシノール10(Triton X-100)、コハク酸水素α-トコフェリル、塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、塩化カリウム、注射用水である。AS03アジュバント添加低用量インフルエンザワクチン(FluLD、AS03の全用量又は半用量)は保存剤を含まないワクチンである。しかしながら、それらは、初期段階の製造プロセスに由来する微量のチオメルサール(用量あたり1.25μg未満のHg)を含む。それらを両方とも、0.5 ml/用量の容量で予備充填されたガラス(I型)シリンジ中の単回用量ワクチンとして提供する。]
[0170] III.4.1.1. AS03アジュバント添加インフルエンザワクチンの組成
1用量のFluLD(AS03の全用量又は半用量)は0.5 mlに一致する。その組成を表3に提供する。用量あたりのHA含量は、両製剤について5μgであり、唯一の差異は最終的な容器中に存在するAS03の量である。]
[0171] III.4.1.2.スプリット不活化インフルエンザ抗原調製物の製造
インフルエンザ抗原は、Fluarix(商標)(インフルエンザウイルスワクチン)に含まれるものと同一である。一価バルクは、孵化鶏卵中に個々に増殖させた、インフルエンザウイルスの3種の株、すなわちA型(H1N1及びH3N2)並びにB型の種株から調製された精製不活化スプリットウイルスからなる。これらの種株は、年1回のWHO推奨後にWHO共同センターから受領した株に由来する。抗原参照物を調製するためのプロセスについては、例えば、WO 02/097072号に示されている。3種の一価バルクの容量は、製剤化の前の各一価バルク中で測定されたHA含量及び標的製造容量に基づく。]
[0172] 10倍濃縮されたリン酸緩衝生理食塩水(1倍濃縮の場合、pH 7.4)並びにTween 80とコハク酸水素α-トコフェリルの予備混合物を、注射用水に希釈した後、室温で5〜30分間攪拌する。次いで、3種の濃縮された一価バルクを、得られるリン酸緩衝生理食塩水/Tween 80-コハク酸水素α-トコフェリル溶液中、中間三価バルク1 mLあたり、
それぞれA株1価バルク(H1N1、H3N2)の20μgのHA
B株1価バルクの23.32μgのHA
の濃度に連続希釈する(5μg HAの各A株一価バルク及び5.83μg HAのB株/500μl三価最終バルク)。]
[0173] 各一価バルクの添加の間に、混合物を室温で10〜30分間攪拌し、最後の一価バルクの添加後15〜30分間攪拌する。「プレプール」とも呼ばれるこの中間三価バルクを+2〜+8℃で保持するか、又は同じ日に最後の製剤化工程に処理することができる。プレプールの最終容量は、用量あたり250μlである。]
[0174] III.4.1.3. AS03アジュバントを含むワクチン組成物の調製
アジュバント添加ワクチン:LD AS03 1/1(表4)
PBSmod 10倍濃縮液(1倍濃縮の場合、pH 7.4;137 mM NaCl、2.7 mM KCl、8.1 mM Na2HPO4、1.47 mM KH2PO4、pH 7.4)、並びにTween 80、Triton X-100及びVESを含む混合物(株中に存在する界面活性剤を考慮に入れた量)を、注射用水に添加する。5〜30分間攪拌した後、1 mlの各H1N1株及びH3N2株あたり20μgのHA並びに1 mlのB株あたり23.32μgのHAを、各添加の間に10〜30分間攪拌しながら添加する。15〜30分間攪拌した後、少量のいわゆる「中間バルク」を分析のために廃棄し、+2〜+8℃で保存する。中間バルクはPBS mod中、1倍濃縮されたものである。標的の界面活性剤濃度は、1 mlあたり488μgのTween 80、1 mlあたり73.6μgのTriton X-100及び1 mlあたり66.6μgのVESである。]
[0175] 次いで、最終的な製剤を調製する:等量のSB62(実施例IIにおける調製を参照)を、それぞれ250μlのプレプール中間バルクに添加し、室温で30〜60分間混合する。pHをチェックして6.8〜7.5の範囲とする。製剤を窒素でフラッシュした後、+2〜8℃で保存した後、充填する。]
[0176] アジュバント添加ワクチン:LD AS03 1/2(表5)
PBSmodの10倍濃縮液(1倍濃縮の場合、pH 7.4-上記組成を参照)並びにTween 80、Triton X-100及びVESを含む混合物(株中に存在する界面活性剤を考慮に入れた量)を、注射用水に添加する。5〜30分間攪拌した後、1 mlの各H1N1株及びH3N2株あたり20μgのHA並びに1 mlのB株あたり23.32μgのHAを、各添加の間に10〜30分間攪拌しながら添加する。15〜30分間攪拌した後、少量のいわゆる「中間バルク」を分析のために廃棄し、+2〜+8℃で保存する。PBS modは中間バルク中、1倍濃縮されたものである。標的の界面活性剤濃度は、1 mlあたり488μgのTween 80、1 mlあたり73.6μgのTriton X-100及び1 mlあたり66.6μgのVESである。]
[0177] 次いで、最終製剤を調製する:SB62をPBSmodバッファーで最初に希釈し、室温で15〜30分間攪拌する。次いで、等量のこの希釈されたSB62を、それぞれ250μlの中間バルクのプレプールに添加する。室温で30〜60分間攪拌した後、pHを調べて6.8〜7.5の範囲とする。製剤を窒素でフラッシュした後、+2〜8℃で保存した後、充填する。]
[0178] 両製剤の最終容量は、用量あたり500μlであり、最終HA濃度は、三価最終バルク1 mlあたり、10μgの各A株一価バルク及び11.66μgのB株一価バルクである。最終的なTween 80、Triton X-100(H3N2一価バルク製造の残留物)及びコハク酸水素α-トコフェリル(コハク酸水素α-トコフェリルはRRR(D異性体)-α-トコフェロールのエステル型である)標的濃度は、それぞれ、244μg/ml、58.6μg/ml及び33.3μg/mlである。]
[0179] III.4.2.ワクチン投与
ワクチンを、1.25 mlの滅菌I型(Ph. Eur.)ガラスシリンジ中に充填する。各シリンジを、0.57 mlの標的に充填する(範囲:0.54〜0.60 ml)。ワクチンを、利き腕と逆の腕の三角筋領域中に筋肉内投与した。全てのワクチンを、予め充填されたシリンジ(0.5 ml)として提供した。ワクチンの適切なIM注射を確保するために、少なくとも25G及び少なくとも長さ2.5 cmの針を用いた。]
[0180] III.5試験集団結果
合計300人の被験者をこの試験に登録した:それぞれ3群の100人の被験者。ワクチン接種の時点での全ワクチン接種コホートの平均年齢は、13.67歳の標準偏差を有する36.7歳であった。3つのワクチン群における被験者の平均年齢及び性別分布は類似していた。]
[0181] III.6.免疫原性結果
免疫原性の分析を、免疫原性に関するATPコホートに対して実施した(297人の被験者)。]
[0182] 液性免疫応答
AS03アジュバントを添加された低用量インフルエンザ候補ワクチンにより誘導された液性免疫応答を評価するために、以下のパラメーター(95%信頼区間と共に)を各処置群について算出した:
・0及び21日目でのHI抗体力価の幾何学的平均力価(GMT);
・21日目での血清変換率(SC);
・21日目での変換係数;
・0及び21日目での防御率。]
[0183] III.6.1 HI幾何学的平均力価(GMT)
HI抗体のGMT(95%CIと共に)を表10及び図1に示す。群間で調整されたGMT比を表11に示す。]
[0184] 全部で3種のワクチン株に関するHI抗体のワクチン接種前のGMTは、3つの処置群において同じ範囲内にあった。アジュバント添加された群について21日目に観察されるGMTは、A/ウィスコンシンワクチン株についてFluLD1/1とFluarixとの間で統計学的差異(95%CIの重複なし、調整されたGMT比は値1を含まなかった)を有する全部で3種の株について、Fluarix群よりも高い傾向を有する。B/マレーシアワクチン株についてFluLD1/2とFluarixとの間でも統計学的差異(調整されたGMT比は値1を含まなかった)が観察された。]
[0185] ]
[0186] ]
[0187] III.6.2. 抗HI抗体力価の変換係数、血清防御率及び血清変換率(ヒトにおけるインフルエンザワクチンについて確立された防御について相関する)
結果を、血清防御率については表6-図2、血清変換率については表7-図3に、及び変換係数については表8-図4に提供する。]
[0188] 全ての群において、血清防御率に関する欧州当局により要求される閾値(70%)に到達した(少なくとも94.9%)。各ワクチン株について、3群に関する21日目の血清防御率は同じ範囲内にあった。]
[0189] 全ての群において、血清変換率に関する欧州当局により要求される閾値(40%)に到達した(少なくとも65%)。]
[0190] A/ニューカレドニアワクチン株について、3群に関する21日目のSCRは同じ範囲内にあった。]
[0191] A/ウィスコンシンワクチン株について、FluLD1/1群に関する21日目のSCRは、Fluarix群と比較してより高い傾向があった。FluLD1/2群に関する21日目のSCRは、Fluarix群と比較して同じ範囲内にあった。]
[0192] B/マレーシアワクチン株について、FluLD1/2群に関する21日目のSCRは、Fluarix群と比較してより高い傾向があった。FluLD1/1群に関する21日目のSCRは、Fluarix群と比較して同じ範囲内にあった。]
[0193] 全ての群において、血清変換係数に関する欧州当局により要求される閾値(2.5)に到達した(少なくとも6.2)。]
[0194] A/ニューカレドニアワクチン株について、3群に関する21日目のSCFは、同じ範囲内にあるようであった。FluLD1/2群について観察された値は、Fluarix群について観察された値より低かったが、FluLD1/2群における高い方のワクチン接種前の血清防御率により説明することができた。]
[0195] A/ウィスコンシンワクチン株について、FluLD1/1群に関する21日目のSCFは、Fluarix群と比較してより高い傾向があった。FluLD1/2群に関する21日目のSCFは、Fluarix群と比較して同じ範囲内にあった。]
[0196] B/マレーシアワクチン株について、2つのアジュバント添加群に関する21日目のSCFは、Fluarix群と比較してより高いものである傾向があった。]
[0197] ]
[0198] ]
[0199] III.7. 安全性結論
Fluarix群と比較したアジュバント添加ワクチン群における応答型(局所/全身)及び非応答型徴候に関するより高い反応原性は、この試験において観察された全体的な傾向であった。]
[0200] アジュバント添加ワクチン中のAS03含量の低減は、全ての全身及び局所等級3徴候に対する有意な影響を有する。]
[0201] 非応答型徴候の発生は、Fluarix群(35%)と比較して、アジュバント添加ワクチン群(55%及び47%の被験者)においてより高い傾向があった。]
[0202] これらの結果から、候補ワクチンの反応原性及び安全性プロフィールが満足のいくものであり、臨床的に許容し得ると結論付けることができる。]
[0203] III.8. 全体の結論
III.8.1.免疫原性結果
この試験の主要評価項目は、2つの異なる濃度のAS03アジュバントを含む低用量のインフルエンザワクチンにより、及びFluarixにより引き出される液性免疫応答(抗HI抗体力価)を評価することであった。]
[0204] 21日目に、3種のワクチンは、スプリットビリオンインフルエンザワクチンの毎年の登録に関する欧州当局の要件を超えた(毎年の株の変化の免疫学的評価に関する「Note for Guidance on Harmonisation of Requirements for influenza Vaccines」-CPMP/BWP/214/96)。GMTは、A/ウィスコンシン(FluLD1/1対Fluarix)及びB/マレーシアワクチン株(FluLD1/2対Fluarix)について観察された統計学的に有意な差異と共に、Fluarix群と比較してアジュバント添加群においてより高い傾向にあった。3種全部のワクチン群において、94.9%〜99%の範囲で、同様の血清防御率が観察された。血清変換率及び血清変換係数は、Fluarix群よりもアジュバント添加群においてより高いことが観察された。この試験からのデータはまた、AS03アジュバントの用量の半分を含むワクチンにより誘導された免疫原性が、当該アジュバントの全用量により誘導されるものに匹敵することを明らかにした。]
[0205] III.8.2.反応原性及び安全性結果
AS03のアジュバントを添加された低用量インフルエンザ候補ワクチンの投与は安全であり、試験集団、すなわち、18〜59歳の年齢の成人において臨床的によく寛容された。半量のアジュバント添加ワクチンは、全用量のアジュバント添加ワクチンと比較して、応答型局所及び全身徴候の発生の顕著な低下を示した。]
[0206] 実施例IV−プライミングされたBALB/cマウスにおけるアジュバント添加及びアジュバント非添加スプリットインフルエンザワクチン(様々な用量のAS03アジュバントを含む)の前臨床評価
IV.1.実験設計及び評価項目
インフルエンザでプライミングされたマウスにおける実験を実施して、この水中油型アジュバントを用いて製剤化されたインフルエンザワクチンにより誘導されたAS03による液性応答の増加を評価した。ヒトの状況をシミュレートするために、ヘテロサブタイプ株でプライミングされたマウスを用いて実験を行った。]
[0207] IV.1.1.処置/群(表9)
27匹の成体雌BALB/cマウスの群を、三価全ホルマリン不活化インフルエンザウイルス(各株につき5μgのHA)を用いて0日目に鼻内に(20μl容量)プライミングした。プライミング株は、ワクチン中に含まれるものよりも早いドリフト変異体(5μgのHA全不活化H1N1 A/ヨハネスブルグ/82/96、H3N2 A/シドニー/5/97、B/ハルビン/7/94)からなっていた。28日後、合計容量50μlで筋肉内に単回用量のワクチン候補をマウスにワクチン接種した。スプリット抗原のみ(三価スプリットプレーン)を含む製剤又は2つの用量のAS03(全量若しくは1/5)のアジュバントを添加されたスプリット抗原を含む製剤を用いて、マウスを免疫した。免疫に用いた株は、H1N1 A/ニューカレドニア/20/99、H3N2 A/パナマ/2007/99、B/山東/7/97ウイルス抗原(1.5μg/株、ヒト用量の1/10)を含んでいた。]
[0208] IV.1.2.ワクチン製剤の調製
Tween 80、Triton X-100及びコハク酸ビタミンE(VES)のプレミックスを調製して、750μg/mlのTween 80、110μg/mlのTriton X100及び100μg/mlのVESのワクチン中の最終濃度を達成する。プレミックス中で用いられる量を、株中に既に存在する界面活性剤及びVESの量を考慮に入れて算出する。]
[0209] 1リットルの10倍濃縮された塩水バッファー(PBSpH 7.4)の調製:0.800Lの注射用水に、NaCl 80 g、KCl 2 g、Na2HPO4 11.44 g、KH2PO4 2 gを添加する。溶解させた後、注射用水で1.0 Lに調整する。10倍希釈した場合、pHは7.4であろう。]
[0210] 三価スプリット/プレーン
1回分の50μl用量の製剤を、以下の順番に従って即時に調製する:注射用水+塩水バッファー(10倍濃縮されたPBSpH 7.4)+プレミックス、室温で5分間磁気攪拌、+1.5μgHAH1N1株、室温で10分間磁気攪拌、+1.5μg HA H3N2株、室温で10分間磁気攪拌、+1.5μg HA B株、室温で15分間磁気攪拌。この製剤を、その調製の終了後1時間以内に注入する。]
[0211] 三価スプリット/AS03
Tween 80、Triton X100及びコハク酸ビタミンE(VES)のプレミックスを調製して、750μg/mlのTween 80、110μg/mlのTriton X100及び100μg/mlのVESのワクチン中の最終濃度を達成する。プレミックス中で用いられる量を、株中に既に存在する界面活性剤及びVESの量を考慮に入れて算出する。]
[0212] 1回分の50μl用量の製剤を、以下の順番に従って即時に調製する:注射用水+塩水バッファー(10倍濃縮されたPBSpH 7.4)+プレミックス、室温で5分間磁気攪拌、+1.5μgHAH1N1株、室温で10分間磁気攪拌、+1.5μg HA H3N2株、室温で10分間磁気攪拌、+1.5μg HA B株、室温で15分間磁気攪拌、+全用量AS03については25μlのSB62エマルジョン又は1/5用量のAS03については5μlのSB62エマルジョン、室温で15分間磁気攪拌。この製剤を、その調製の終了後1時間以内に注入する。]
[0213] IV.1.3.読み出し(表10)
ワクチン接種に対する液性免疫応答を、免疫の前(28日目)及び免疫の14日後に測定した(27匹のマウス/群)。血清サンプルを、血球凝集抑制(HI)試験により試験した。]
[0214] IV.2. 結果
IV.2.1.液性免疫
結果を図5に提供する。ヘテロサブタイププライミング、次いで1回のワクチン接種のこのマウスモデルにおいては、AS03及びその希釈液はプレーンワクチンと比較してより高いHI力価を誘導することが示された。全てのインフルエンザA株について、HI力価の統計学的に有意な増加が観察された(p<0.05)。また、H1N1株については、HI力価の有意差がAS03とAS03 1/5の間で観察された(p<0.05)。少量のAS03は、プレーンワクチンと比較して3種全部の株についてHI力価を増加させることができなかった。B株(B/山東)に対しては、非常に低い応答が観察された。これは、プライミングに用いられたB株とワクチンとの間での有意な抗原ドリフトに起因するものである可能性がある。]
[0215] IV.3. 結果及び結論のまとめ
結論として、プレーンワクチンと比較して、AS03アジュバント添加ワクチンを用いる場合、ヘテロサブタイプ株でプライミングされた動物において、HI力価の増加が観察された。全用量のAS03は、3種全部のインフルエンザワクチン株に対して強固なHI力価を得るのに最適であった。]
[0216] 実施例V−プライミングされたC57Bl/6マウスにおけるアジュバント添加及びアジュバント非添加スプリットインフルエンザワクチン(様々な用量のAS03アジュバントを含む)の前臨床評価
V.1.実験設計及び評価項目
インフルエンザでプライミングされたマウスにおける実験を実施して、この水中油型アジュバントを用いて製剤化されたAS03誘導インフルエンザワクチンによる液性及び細胞性応答の増加を評価した。]
[0217] ヒトの状況をシミュレートするために、ヘテロサブタイプ株でプライミングされたマウスを用いて実験を行った。]
[0218] V.1.1.処置/群(表11)
25匹の成体雌C57Bl/6マウスの群を、三価全ホルマリン不活化インフルエンザウイルス(各株につき5μgのHA)を用いて0日目に鼻内(20μl容量)にプライミングした。プライミング株は、ワクチンに含まれるものよりも早いドリフト変異体(5μg HA全不活化H1N1 A/北京/262/95、H3N2 A/パナマ/2007/99、B/山東/7/97)からなっていた。28日後、合計容量100μlで筋肉内に単回用量のワクチン候補をマウスにワクチン接種した。スプリット抗原のみ(三価スプリットプレーン)を含む製剤又は3種の用量のAS03(全量、1/2若しくは1/5)のアジュバントを添加されたスプリット抗原を含む製剤を用いて、マウスを免疫した。免疫に用いた株は、H1N1 A/ニューカレドニア/20/99、H3N2 A/ニューヨーク/55/2004、B/江蘇/10/2003ウイルス抗原(1.5μg/株、ヒト用量の1/10)を含んでいた。]
[0219] V.1.2.ワクチン製剤の調製
三価スプリット/プレーン
100μl用量の製剤を、以下の順番に従って即時に調製する:注射用水+塩水バッファー(実施例IVに教示されたように調製された10倍濃縮されたPBSpH 7.4)+Fluarix 臨床ロットDFLUA014(最終用量中に、株あたり1.5μg)。]
[0220] 三価スプリット/AS03
100μl用量の製剤を、以下の順番に従って即時に調製する:注射用水+塩水バッファー(実施例IVに教示されたように調製された10倍濃縮されたPBSpH 7.4)+Fluarix臨床ロットDFLUA014(最終用量中に、株あたり1.5μg)+全用量については25μlのSB62エマルジョン又は1/2用量については12.5μlのSB62エマルジョン又は1/5用量については5μlのSB62エマルジョン。この製剤を、調製の終了後1時間以内に注入する。]
[0221] V.1.3.読み出し(表12)
ワクチン接種に対する液性免疫応答を、免疫の21日後に測定し(10匹のマウス/群)、血清サンプルを、血球凝集抑制(HI)試験により試験した。細胞性免疫応答を、細胞内サイトカイン染色(ICS)により免疫の7日後に試験した。]
[0222] V.2. 結果
V.2.1.液性免疫(10匹のマウス/群)
結果を図6に提供する。ヘテロサブタイププライミング、次いで1回のワクチン接種のこのマウスモデルにおいては、AS03及びその希釈液(1/2及び1/5)はプレーンワクチンと比較してより高いHI力価を誘導することが示された。3種全部の株について、全用量AS03又は低用量のAS03のアジュバントを添加されたワクチンを受容するマウス間でHI力価の差異は観察されなかった。]
[0223] V.2.2.細胞性免疫(15匹のマウス/群)
結果を図7に提供する。AS03の希釈率に関わらず、三価スプリットプレーンで免疫されたマウスと比較して、AS03アジュバントを添加された三価スプリットワクチンで免疫されたマウスにおいて、より高いCD4+ T細胞応答が観察された。全用量AS03アジュバントを添加された三価スプリットで免疫されたマウスにおいて誘導された応答と比較して、マウスをより低用量のAS03のアジュバントを添加された三価スプリットで免疫した場合、より少ない細胞性応答の傾向が観察された。]
[0224] V.3. 結果及び結論のまとめ
結論として、プレーンワクチンと比較して、AS03アジュバント添加ワクチンを用いる場合、ヘテロサブタイプ株でプライミングされた動物において、液性及び細胞性応答の増加が観察された。全用量又は分画用量のAS03アジュバントで免疫されたマウス間で、類似する規模の液性応答が観察された。しかしながら、アジュバント用量の減少は、CD4+ T細胞応答の低下した規模に関する傾向と関連していた。]
[0225] 実施例VI−プライミングされたC57Bl/6マウスにおけるアジュバント添加及びアジュバント非添加スプリットインフルエンザワクチン(様々な用量のAS03アジュバント及び低用量の抗原を含む)により誘導される細胞性免疫応答の前臨床評価
VI.1.実験設計及び評価項目
インフルエンザでプライミングされたマウスにおける実験を実施して、低用量の抗原(0.5μg/株、1/30ヒト用量)を含み、この水中油型アジュバントと共に製剤化されたインフルエンザワクチンにより誘導されるAS03による細胞性免疫応答の増加を評価した。ヒトの状況をシミュレートするために、ヘテロサブタイプ株でプライミングされたマウスを用いて実験を行った。]
[0226] VI.1.1.処置/群(表13)
15匹の成体雌C57Bl/6マウスの群を、三価全ホルマリン不活化インフルエンザウイルス(各株につき5μgHA)を用いて0日目に鼻内に(20μl容量)プライミングした。プライミング株は、ワクチンに含まれるものよりも早いドリフト変異体(5μg HA全不活化H1N1 A/北京/262/95、H3N2 A/パナマ/2007/99、B/山東/7/97)からなっていた。28日後、合計容量50μlで筋肉内に単回用量のワクチン候補をマウスにワクチン接種した。スプリット抗原のみ(三価スプリットプレーン)を含む製剤又は3種の用量のAS03(全量、1/2若しくは1/5)のアジュバントを添加されたスプリット抗原を含む製剤を用いて、マウスを免疫した。免疫に用いた株は、H1N1 A/ニューカレドニア/20/99、H3N2 A/ニューヨーク/55/2004、B/江蘇/10/2003ウイルス抗原(1.5μg/株、ヒト用量の1/30)を含んでいた。]
[0227] VI.1.2.ワクチン製剤の調製
三価スプリット/プレーン
50μl用量の製剤を、以下の順番に従って即時に調製する:注射用水+塩水バッファー(実施例IVに教示されたように調製された10倍濃縮されたPBSpH 7.4)+Fluarix臨床ロットDFLUA014(最終用量中に、株あたり0.5μg)。]
[0228] 三価スプリット/AS03
50μl用量の製剤を、以下の順番に従って即時に調製する:注射用水+塩水バッファー(実施例IVに教示されたように調製された10倍濃縮されたPBSpH 7.4)+Fluarix臨床ロットDFLUA014(最終用量中に、株あたり0.5μg)+全用量については25μlのSB62エマルジョン又は1/2用量については12.5μlのSB62エマルジョン又は1/5用量については5μlのSB62エマルジョン。この製剤を、調製の終了後1時間以内に注入する。]
[0229] V.1.3.読み出し(表14)
細胞性免疫応答を、細胞内サイトカイン染色により免疫の7日後に試験した。]
[0230] VI.2. 結果
VI.2.1.細胞性免疫
結果を図8に提供する。三価スプリットプレーンで免疫したマウスと比較して、AS03(全用量若しくは1/2用量)のアジュバントを添加された三価スプリットワクチンで免疫したマウスにおいて、わずかにより高いCD4+ T細胞応答が観察された。三価スプリットプレーン又は全用量若しくは半用量のAS03のアジュバントを添加されたワクチンで免疫されたマウスにおいて誘導された応答と比較して、マウスを1/5用量のAS03のアジュバントを添加された三価スプリットで免疫した場合、より高い細胞性応答が観察された。]
[0231] VI.3. 結果及び結論のまとめ
結論として、プレーンワクチンと比較して、AS03アジュバントを添加されたワクチンを用いる場合、ヘテロサブタイププライミング動物において、CD4+ T細胞応答の最小的な増加が観察された。この実験においては、アジュバント用量応答は観察されなかったが、実際に1/5のAS03用量により、より高いアジュバント用量を用いる場合に認められるものよりも高い頻度の抗原特異的CD4+ T細胞が誘導された。これらのデータは、全体として他の前臨床試験と一致しなかったが、これはこの特定の実験に関する技術的な問題を示唆しうるものである。]
[0232] 実施例VII−ナイーブなC57Bl/6マウスにおけるアジュバント添加及びアジュバント非添加スプリットH5N1ワクチン(様々な用量のAS03アジュバント及び抗原を含む)の前臨床評価
VII.1.実験設計及び評価項目
この水中油型アジュバントと共に製剤化されたH5N1スプリットワクチンにより誘導されるAS03による液性及び細胞性免疫応答の増加を評価するためにH5N1にナイーブなマウスにおける実験を実施した。パンデミックの場合、世界全体の集団が新規に広まるパンデミックインフルエンザ株に対して免疫学的にナイーブであると予想される。このナイーブな免疫状態に起因して、パンデミックワクチンは新しいインフルエンザ株により引き起こされる感染及び重篤な疾患から個人を防御するための2回のワクチン用量を必要とする可能性が高い。この以前の曝露の欠如を表すために、ナイーブなマウスモデルを開発して、ワクチンの免疫原性を評価した。]
[0233] VII.1.1.処置/群(表15)
15匹の成体雌ナイーブC57Bl/6マウスの群を、全量50μlで筋肉内にパンデミックH5N1ワクチン候補を用いて0日目及び28日目に免疫した。マウスを、スプリットH5N1抗原のみ(H5N1スプリットプレーン)を含む製剤又は様々な用量のAS03(2倍、全量、1/2若しくは1/5)のアジュバントを添加されたスプリット抗原を含む製剤で免疫した。免疫に用いた株は、H5N1 A/ベトナム/1194/04ウイルス抗原(ヒト用量の1/10に相当する1.5又は0.38μg/株)を含んでいた。2倍のAS03用量を用いて製剤化を行わず、むしろ1回の50μlのH5N1スプリット/AS03全用量+1回の50μlのAS03用量の同時注入とした。]
[0234] VII.1.2.ワクチン製剤の調製
1リットルの最終バルクバッファー(PBSpH 7.2±0.2)の調製:0.800Lの注射用水に、NaCl 7.699 g、KCl 0.200 g、MgCl2 x 6H2O 0.100 g、Na2HPO4 x 12 H2O 2.600 g、KH2PO4 0.373 gを添加する。溶解後、注射用水で1.0 Lに調整する。]
[0235] H5N1スプリット/プレーン
50μl用量の調製:
チオメルサール(株中でのその濃度を考慮に入れた量)及びTriton X100を、最終バルクバッファーに添加する。Tween 80を内容物として添加せず、製剤中の標的を、株のTween濃度により達成する。最終濃度は、1.5μg製剤用量中、10μg/mlのチオメルサール、368μg/mlのTween 80及び35μg/mlのTriton X100である。それらは、0.38μgの製剤用量中では、チオメルサールについては10μg/ml、Tween 80については93μg/ml及びTriton X100については8.9μg/mlである。5〜30分間磁気攪拌した後、1.5又は0.38μgのHA(H5N1株)を添加する。製剤を30〜60分間攪拌する。pHを調べる。製剤化の終了後1時間以内に注入を行う。]
[0236] H5N1スプリット/AS03
50μl用量の調製:
チオメルサール(株中でのその濃度を考慮に入れた量)及びTriton X100を、最終バルクバッファーに添加する。Tween 80を内容物として添加せず、製剤中の標的を、株のTween濃度により達成する。最終濃度は、1.5μg製剤用量中、10μg/mlのチオメルサール、368μg/mlのTween 80及び35μg/mlのTriton X100である。それらは、0.38μgの製剤用量中では、チオメルサールについては10μg/ml、Tween 80については93μg/ml及びTriton X100については8.9μg/mlである。5〜30分間磁気攪拌した後、1.5又は0.38μgのHA(H5N1株)を添加する。30〜60分間攪拌した後、25又は12.5又は5μlのSB62エマルジョンを添加する。製剤を30〜60分間攪拌する。pHを調べる。製剤化の終了後1時間以内に注入を行う。]
[0237] VII.1.3.読み出し(表16)
抗Ig、IgG1及びIgG2b抗体力価(図9A〜F)により、免疫の14日後(10匹のマウス/群)に液性免疫応答を測定した。また、抗H5N1血球凝集抑制アッセイにより、免疫の21日後(10匹のマウス/群)に液性免疫応答を測定した(図10A〜B)。]
[0238] 細胞性免疫応答を、フローサイトメトリーにより数えた抗原特異的CD4+ T細胞の細胞内サイトカイン染色(ICS)により免疫の6日後(3匹のマウス/群の5つのプール)に細胞性免疫応答を試験した(図11A〜B)。]
[0239] VII.2. 結果
VII.2.1.液性免疫応答:ELISA及びアイソタイプ
結果を図9に提供する。]
[0240] 各用量のH5N1スプリットワクチンで、全てのアジュバント添加群は、アジュバント非添加H5N1スプリットワクチンと比較して、より高い抗H5N1Ig、IgG1及びIgG2b抗体力価を誘導した(図9A〜F)。]
[0241] 各用量のH5N1スプリットワクチンで、抗H5N1IgG1抗体応答は、抗H5N1 IgG2b抗体応答よりも4〜5倍高かった(図9C〜F)。1.5μgHA用量のH5N1スプリットワクチンと各用量のアジュバントを混合した場合、抗H5N1Ig、IgG1及びIgG2b抗体応答の差異は観察されなかった(図9A、C及びE)。]
[0242] 0.38μgHA用量のH5N1スプリットワクチンを用いる場合、AS03/2(p=0.7315)及びAS03 1/5(p=0.9744)のアジュバントを添加されたH5N1スプリットワクチンにより誘導される応答と比較して、2倍〜全用量のアジュバントを添加されたH5N1スプリットワクチンによる免疫後に、より高い抗H5N1Ig力価に関する傾向が得られた(図9B)。また、この傾向は抗H5N1IgG1抗体応答についても観察された(図9D)。しかしながら、この力は統計学的有意差を観察するには十分ではなかった(1.7倍の差異については25%の力、又は2倍の差異については47%)。]
[0243] VII.2.2.液性免疫応答:HI力価
1.5μgHA用量/マウスの場合
各アジュバント用量で、AS03アジュバントを添加されたH5N1スプリットワクチンで免疫された全てのマウスは、アジュバント非添加H5N1スプリットワクチンで免疫されたマウスにおいて得られる応答と比較して、より高いHI力価を誘導した(図10A)。H5N1スプリットワクチンを一定用量範囲のAS03のアジュバントを添加した場合、HI力価の差異は観察されなかった(図10A)。]
[0244] 0.38μgHA用量/用量の場合
各アジュバント用量で、AS03アジュバントを添加されたH5N1スプリットワクチンで免疫された全てのマウスは、アジュバント非添加H5N1スプリットワクチンで免疫されたマウスにおいて得られる応答と比較して、より高いHI力価を誘導した(図10B)。]
[0245] AS03/2のアジュバントを添加されたH5N1スプリットワクチンを用いて得られる応答と比較して、2倍全用量のAS03のアジュバントを添加されたH5N1スプリットワクチンを用いる場合、有意に高いHI力価が観察された(4倍の差異についてはp=0.032)(図10B)。]
[0246] 2倍全用量のAS03若しくは全用量のAS03のアジュバントを添加されたH5N1スプリットワクチンで免疫されたマウスにおいて、又はAS03/2若しくはAS03/5のアジュバントを添加されたH5N1スプリットワクチンで免疫されたマウス間で、HI力価の差異は観察されなかった(図10B)。]
[0247] 抗原用量間での比較(1.5μg又は0.38μg)
AS03/5のアジュバントを添加された1.5μgHAスプリットH5N1で免疫されたマウスと、2倍全用量のAS03のアジュバントを添加された0.38μg HAスプリットH5N1で免疫されたマウスとの間を除いて、AS03、AS03/2又はAS03/5のアジュバントを添加されたそれぞれのHA用量のH5N1スプリットワクチンで免疫されたマウス間で、HI力価の差異は観察されなかった(図10)。より低いアジュバント用量と混合したより高い抗原用量と比較して、2倍全用量AS03のアジュバントを添加された0.38μg HAスプリットH5N1による免疫後に、HI力価は有意に高かった(AS03/5について1.5μg HA、4倍の差異についてはp=0.0193)(図10)。]
[0248] VII.2.3.細胞性免疫応答
結果を図11に提供する。]
权利要求:

請求項1
ブドウ球菌の糖及び/又はタンパク質と、水中油型エマルジョンを含むアジュバント組成物とを含む免疫原性組成物であって、該水中油型エマルジョンがヒト用量あたり0.5〜10 mgの代謝可能油、0.5〜11 mgのトコール及び0.1〜4 mgの乳化剤を含む、前記免疫原性組成物。
請求項2
ブドウ球菌の糖及び/又はタンパク質と、水中油型エマルジョンからなるアジュバント組成物とを含む免疫原性組成物であって、該水中油型エマルジョンがヒト用量あたり0.5〜10 mgの代謝可能油、0.5〜11 mgのトコール及び0.1〜4 mgの乳化剤を含む、前記免疫原性組成物。
請求項3
ブドウ球菌の糖及び/又はタンパク質と、水中油型エマルジョンを含むアジュバント組成物とを含む免疫原性組成物であって、該水中油型エマルジョンが1種以上のさらなる免疫刺激剤を含み、ヒト用量あたり0.5〜10 mgの代謝可能油、0.5〜11 mgのトコール及び0.1〜4 mgの乳化剤を含む、前記免疫原性組成物。
請求項4
ブドウ球菌の糖及び/又はタンパク質と、水中油型エマルジョンを含むアジュバント組成物とを含むワクチン組成物であって、該水中油型エマルジョンがヒト用量あたり0.5〜10 mgの代謝可能油、0.5〜11 mgのトコール及び0.1〜4 mgの乳化剤を含む、前記ワクチン組成物。
請求項5
水中油型エマルジョンがヒト用量あたり、1〜10、2〜10、3〜9、4〜8、5〜7、又は5〜6 mg(例えば、2〜3、5〜6、又は9〜10 mg)の代謝可能油を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項6
水中油型エマルジョンがヒト用量あたり、0.5〜11、1〜11、2〜10、3〜9、4〜8、5〜7、5〜6 mg(例えば、10〜11、5〜6、2.5〜3.5又は1〜3 mg)のトコールを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項7
水中油型エマルジョンがヒト用量あたり、0.1〜5、0.2〜5、0.3〜4、0.4〜3又は2〜3 mg (例えば、0.4〜1.2、2〜3又は4〜5 mg)の乳化剤を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項8
代謝可能油の量がヒト用量あたり5.35 mgである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項9
代謝可能油の量がヒト用量あたり2.14 mgである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項10
トコールの量がヒト用量あたり5.94 mgである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項11
トコールの量がヒト用量あたり2.38 mgである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項12
乳化剤の量がヒト用量あたり2.425 mgである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項13
乳化剤の量がヒト用量あたり0.97 mgである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項14
代謝可能油がスクアレンである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項15
トコールがα-トコフェロールである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項16
乳化剤がポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項17
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートがPolysorbate(登録商標)80又はTween(登録商標)80を含む群より選択される、請求項16に記載の免疫原性組成物。
請求項18
ワクチン組成物の容量が0.4〜1.5 mlである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項19
前記用量の容量が0.5 mlである、請求項18に記載の免疫原性組成物。
請求項20
前記用量の容量が0.7 mlである、請求項18に記載の免疫原性組成物。
請求項21
前記用量の容量が1.0 mlである、請求項18に記載の免疫原性組成物。
請求項22
ブドウ球菌PNAG糖を含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項23
黄色ブドウ球菌5型及び/又は8型糖を含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項24
糖がキャリアタンパク質にコンジュゲートされている、請求項22又は23に記載の免疫原性組成物。
請求項25
キャリアタンパク質が、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、緑膿菌エキソタンパク質A、ニューモリシン、インフルエンザ菌由来のプロテインD、ブドウ球菌タンパク質、αトキソイド、ClfA及びSdrGからなる群より選択される、請求項24に記載の免疫原性組成物。
請求項26
ブドウ球菌タンパク質、その免疫学的機能等価物、又はそれらの断片をさらに含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項27
ブドウ球菌タンパク質又はその断片が、ラミニン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、オートリシン、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、コアグラーゼ、Fig及びMAPからなる群より選択される細胞外成分結合タンパク質である、請求項26に記載の免疫原性組成物。
請求項28
ブドウ球菌タンパク質又はその断片が、免疫優勢ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC及びNi ABC輸送体からなる群より選択される輸送体タンパク質である、請求項26に記載の免疫原性組成物。
請求項29
ブドウ球菌タンパク質又はその断片が、αトキシン(Hla)、αトキシンH35R変異体、RNA III活性化タンパク質(RAP)からなる群より選択されるトキシン又は病原性調節因子である、請求項26に記載の免疫原性組成物。
請求項30
以下:(a)ラミニン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、オートリシン、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、コアグラーゼ、Fig及びMAPからなる群より選択される、少なくとも1種のブドウ球菌細胞外成分結合タンパク質又はその断片;(b)免疫優勢ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC及びNi ABC輸送体からなる群より選択される、少なくとも1種のブドウ球菌輸送体タンパク質又はその断片;(c)αトキシン(Hla)、αトキシンH35R変異体、RNA III活性化タンパク質(RAP)からなる群より選択される、少なくとも1種のブドウ球菌の病原性調節因子、トキシン又はその断片から選択される少なくとも2つの異なる群から選択される2以上のブドウ球菌タンパク質を含む、請求項26〜29のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項31
請求項1〜30のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を、疾患に罹患しているか、又は疾患に罹りやすい患者に投与することを含む、ブドウ球菌感染又は疾患を治療又は予防する方法。
請求項32
ブドウ球菌感染又は疾患の予防的治療又は治療における使用のための請求項1〜30のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
請求項33
ブドウ球菌感染又は疾患の予防的治療又は治療における使用のための医薬の製造における、請求項1〜30のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の使用。
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同族专利:
公开号 | 公开日
MX2010011393A|2010-11-09|
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引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
法律状态:
2011-03-25| A521| Written amendment|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110324 |
优先权:
申请号 | 申请日 | 专利标题
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